放送したお宅
2011年12月9日(金)放送
東京都日野市・佐藤邸
- 林に臨む伝統工法の家 -

2008年4月

敷地面積 186平米 (56坪)
建築面積 57平米 (17坪)
延床面積 131平米 (40坪)
木造2階建て
建築費:3189万円 坪単価:85万円



北側で接道する旗竿地。南に行くに従って下がる敷地の高低差は最大で3.5mに達します。南・東面は緑豊かな保存林に面しています。外壁は藁入り土壁風モルタル塗り。

入った途端、木の香りに包まれる玄関。4色のガラスを使った飾り窓、ドア下の銅板など職人技が光ります。壁と居間との間は引き戸で仕切られます。

構造材には全て徳島産のスギ材を使用。7寸(約21cm)角の大黒柱を中心に、釘を1本も使わない伝統工法で造られています。1階はLDK。

1階の一部は吹き抜け。高低差のある敷地のため、ウッドデッキは林に向かって張り出した形になります。ウッドデッキは、水に強いヒノキ材で造られています。

景色を楽しみながら料理できる台所。収納の扉は木目が繋がるように造られていて、職人の丁寧な仕事ぶりを感じます。台所に隣接して食品庫を設けています。

やはり木の質感を活かした水回り。子供用の踏み台は、大工さんが端材で作ってくれた物です。

階段はヒノキ材。階段下の採光を考慮し、蹴上を塞がないデザイン。2階ホールから大窓を通して見る景色は、東京の住宅地とは思えない豊かな緑です。

将来、子供室となる予定のフリースペース。ロフトがあります。主寝室からは林をまた違った角度から楽しめます。

建築家のプロフィール
松井郁夫
町並み保存運動から地域力を学び、古民家再生から木組を学び、
現代住宅を地域や職人とともに伝統的な木組でつくることを使命とする
1985年 松井郁夫建築設計事務所設立
山と職人と住まい手をつなぐ、一般社団法人ワークショップ「き」組代表理事
国家プロジェクト「大工育成塾」講師
国土交通省「伝統的構法の設計法作成および性能検証実験」検討委員
内閣府「地域伝導師」
NPO木の建築フォラム理事
金沢美術大学講師

株式会社松井郁夫建築設計事務所
(一般社団法人ワークショップ「き」組 事務局)
所在地 東京都中野区江原町1-46-12 江原ジュールカースル203
電話 03-3951-0703
FAX 03-5996-1370
E-mail ok@matsui-ikuo.jpinfo@kigumi.jp
URL http://kigumi.jp/(豊田の家が掲載されている「き」組のHP)
http://www.matsui-ikuo.jp/(松井郁夫建築設計事務所のHP)

建築家の一言
「豊田の家」は国産無垢の木と漆喰の木組の家です。
豊田の緑地に敷物を敷くようにせり出した広いデッキがこの家の特徴です。森の木々の中で生活しているような、いつも四季のうつろいを感じることできる家です。
架構と間取りを合致させ、将来の生活の変化に合わせて部屋の広さを変更できる壁配置になっています。何世代も住み継ぐことのできる、いつまでも飽きのこない住空間です。
松井郁夫建築設計事務所が事務局を務める、全国の実務者のグループ【ワークショップ「き」組】は日本の山の木を使い、植林の費用を還元することで山を守り、伝統的な木組の技術を若い職人たちに伝え、住み心地の良い自然素材の家を適正価格で提供しています。建主さんはこの仕組に賛同されて、松井事務所に設計を依頼されました。
渡辺篤史の感想
武蔵野の雑木林をそのまま保存したような樹林。そこに面してこの建物はたっています。周囲が木でいっぱいなら、室内も木がいっぱい。釘を使わない、日本の伝統工法で建てられました。さらには、おじいちゃんが孫のために作ってくれたおもちゃも木製です。木の温かみを存分に感じつつ、家族の物語を紡いでいく家です。