放送したお宅
2011年10月7日(金)放送
神奈川県川崎市・友田邸
− 静謐な光 11坪の家 −

2010年1月

敷地面積 78平米 (23坪)
建築面積 35平米 (11坪)
延床面積 92平米 (28坪)
木造
建築費:2250万円 坪単価:80万円



約11mのアプローチがある旗竿地に立つ11坪の建物。外壁材は焼杉。表面を焼いて炭化させる事で、普通の杉材より 耐久性に優れています。

玄関に入って正面に趣味室。ここはバイクの車庫も兼ねているため玄関扉は大きく作られています。

スキップフロアで全体を構成する友田邸。寝室は玄関から約70cm掘り下げられています。天井、壁、床は全て桐材です。

2階は約20畳のLDK。建物の四方を住宅に囲まれているため、トップライトから採光する明るい空間です。ダイニングには、約6mの吹き抜けから光が降り注ぎます。


ご夫婦共に料理をするので大きめのキッチン。大きな引き戸の収納は食器が取りやすく使いやすいのが特徴。約60cmの段差を上がると約10畳のリビングがあります。


すっきりした印象を受ける窓は、室内からアルミサッシの框が見えないように設計されています。階段の踊り場にある窓には、手摺りが十字型にデザインされています。

3階の子供部屋は、室内窓から吹き抜けで2階と繋がっています。

バスコートを含めて約8.5畳の水回り。屋外空間をうまく取り込んだ開放的な空間です。

建築家のプロフィール
島田 陽
1972年 兵庫県神戸市生まれ
1995年 京都市立芸術大学環境デザイン科卒業
1997年 同大学大学院修了
1999年 タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所設立

タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所
所在地 兵庫県神戸市中央区北野町2-13-23
電話 078-891-6382
FAX 078-891-6620
E-mail daaas@e.email.ne.jp
URL http://tat-o.com/

建築家の一言
川崎市、多摩川から歩いて5分ほどの敷地に建つ住宅。東京郊外の比較的高密度な住宅地の1角を更に細分化した77uの旗竿状の敷地に建つ。旗竿部分を除いた5.74m×8.58mの敷地に、いかに豊かな生活を展開できるかが設計のテーマとなった。
つねづね、こういった狭小住宅では階段の取り扱いが問題だと感じている。家の中心を階段が貫く形式は水平移動の為に供与されるスペースが最小となる為、狭小住宅では有効な形式のひとつなのだけれど、家の全容が理解されやすく拡がりが生まれにくい。そこで、ここではスキップフロアを採用してそれぞれの階段を短くし、家具状にして部屋にちりばめつつ、比較的長い階段に関しては南側にまとめた。スキップした各層は適度に仕切り、7.67mから2.1mまで様々な階高を持つ部屋が見え隠れしながら繋がっていくようにした。
建て込んだ住宅地でかろうじて空いた方向へ窓を向けつつ、トップライトによる上方からの光を上手く取り込むことで落ち着いた環境をつくり出せたのではないかと思う。
渡辺篤史の感想
神戸在住の建築家、島田さんに設計を依頼した建物ですが、四方を住宅に囲まれた旗竿地での設計は、難解なパズルを解いていくようなプロセスだったことでしょう。けれど、出来上がったものは見事で、とてもセンスを感じる建物です。施主である友田さんご夫婦のライフスタイルが素敵ですよね。ここで娘さんはスクスクと育っていく、、、なんか一つの物語ができそうですね。