放送したお宅
2011年9月2日(金)放送
東京都杉並区・宮田邸
- 2.7m×22.7mのキャットハウス -

2010年12月

敷地面積 148平米 (45坪)
建築面積 61平米 (18坪)
延床面積 116平米 (35坪)
木造軸組在来工法
建築費:2150万円 坪単価:61万円



元は隣の団地の駐車場だったという細長い敷地に合わせた、幅2.7m×奥行き22.7mという超細長住宅。縦張りした外壁材がシャープな印象を強調します。

玄関は2重扉。3匹の愛猫の飛び出し防止用です。同様に屋内にも要所要所に引戸を設けています。北端にある玄関から南端の居間まで廊下が長く伸びています。

南端にあるLDの広さは約11畳。一部が畳敷きになっています。南側には建物と同じ幅で奥行き約6mのウッドデッキがあります。

居間の天井の一部は2階まで高さ5.3mの吹き抜け。天窓もあります。壁から突き出た板は、猫たちを遊ばせるためのキャットウォークです。

台所は独立型。廊下側と居間側2方向に出入り口があります。いずれにも猫の侵入を防ぐため引き戸を設置。賢い猫たちに開けられないよう磁石で固定されます。

1階の長い廊下沿いには、2畳大の書斎と猫用を併設したトイレがあります。玄関隣に洗面室。洗面台は台所とお揃いの白タイル貼りです。

2階北端は主寝室。南側にバルコニーがあるので採光・通風とも良好です。バルコニーからは木のルーバー越しに借景の桜を眺められます。

2階南側はフリースペース。建具を入れるだけで個室化できるよう既に鴨居が取り付けられています。置き畳をした客間の窓は吹き抜けに面していて猫たちが出入りします。

建築家のプロフィール
加藤 雅康
1962年 東京生まれ
1986年 関東学院大学工学部建築学科 卒業
ケン設計工房 勤務
2002年 カトウアーキテクトオフィス 開設

カトウアーキテクトオフィス
所在地 東京都中野区東中野3-13-10 BALCON501
電話 03-5386-6101
FAX 03-5386-6103
E-mail kato-a-o@mub.biglobe.ne.jp
URL http://www.kato-a-o.com

建築家の一言
閑静な住宅街に、古い公務員社宅に付属しているような細長い敷地があった。その古い社宅には空地が多くあり、ゆとりある区画であるがゆえに込み入った印象は無い。大きな桜や紅葉の木が、街の印象を豊かなものにし歴史を感じさせてくれる。そんな敷地を購入するところからこの計画は始まった。
敷地の間口4m、建物間口2.7m、建物奥行き22.7m。敷地に合わせた超細長い家の住人は、若い夫婦と猫3匹である。外観は、ガルバリウム鋼板に覆われた長方形ボックスで、エッジを際立たせる為に、上部の笠木と下部の水切りを取り払うディテールとしている。開口部を制限しているその姿は、住宅らしからぬ佇まいである。内装は節のある桜のフローリングを採用し、構造用合板現しの天井、構造梁もそのまま露出させ、シンプルになり過ぎぬようデザインにリズムをもたせると共に、ローコストにも一役買うような配慮をしている。
動物を愛するクライアントは、これからも共に暮らしていく猫の為に様々な工夫を凝らしている。子供の誕生,大型犬の購入、それに伴う間取りの変更、玄関前のかつらの木など、時間とともに生活スタイルも様相も成長しながら変化していくのが楽しみな住宅である。
渡辺篤史の感想
『20代で家を建てる』という目標を見事に達成した若夫婦の家です。間口わずか2.7m、しかし奥行きは22.7mもあるという非常に細長い建物ですが、建てる前から愛猫との共生という明確なビジョンがありました。3匹の猫たちが走り回れる工夫の数々。その楽しそうな様子を見ているだけで幸せな気持ちになります。猫たちを思ってやった事が巡って、自分たちに幸せが還って来ている。そんな印象です。