放送したお宅
2011年8月26日(金)放送
東京都武蔵野市・関邸
- 草屋根で寛ぎ 土間で遊ぶ家 -

2010年9月

敷地面積 106 平米 (32坪)
建築面積 53 平米 (16坪)
延床面積 125 平米 (38坪)
木造+RC造
建築費:3380万円 坪単価:89万円



南西角地にたつ建物。低層住居専用地域で必要な容積を確保するため、地下1階・地上2階になりました。南面の外壁には所々丸い小さなガラス窓が嵌め込まれています。

玄関を入ると約9畳大の広い土間。110cmの高低差がある2層構造。自転車を収納したり、機織り機を置いたりと多目的な趣味の空間です。小さな丸窓からも明かりが入ります。

土間に面して造られた和室。約6畳大の多目的空間ですが、引き込まれている障子を出せば個室となり、来客用の寝室にもなります。

2階は約20畳大のLDK。南面は太い梁に支えられた幅7.5mの全面開口。木枠のガラス戸を開けば、9畳大のドテラスも一体となった広大な空間が出現します。

天井は、梁を現し、構造用合板をOS拭き取り仕上げした、木の質感を活かすもの。台所はLDKの北東角にL字形に設置。収納も多く、家具のような仕上がりです。

テラスの隅の階段を上がると屋上。断熱性・遮熱性に優れた草屋根は、都市においては貴重な緑の空間。ロープを使った柵とベンチを設け、庭として使えるようにしました。

1階東側に水回り。南北に抜けのある日当り・風通しの良い空間です。織物の染色もできるよう、洗面台とシンクは大きめの物を設置しています。

地階は寝室と書斎。いずれの部屋も隅のL字形の高窓から採光し、地下とは思えない明るさ。書斎は約12畳大もある広い部屋。収納も多いので片付きます。

建築家のプロフィール
道家 洋
1965年 愛知県名古屋生まれ
1989年 名古屋大学工学部建築学科卒
1989-1995年 設計事務所勤務
1996年 マクガフィン・アンド・パートナーズ建築事務所設立
2005年 道家洋建築設計事務所に改称
2001年 愛知淑徳大学非常勤講師

道家洋建築設計事務所
所在地 名古屋市東区筒井1-13-16
電話 052-930-2857
FAX 052-930-2858
E-mail info@doukehiroshi.com
URL www.doukehiroshi.com

建築家の一言
敷地の諸条件から導き出される、建物のボリュームをシンプルに取り出し、その中に必要とされる機能・空間を折り合いよく(適当に)配置しています。建て主夫婦のキャラクターを反映させるよう、建物全体に柔らかい印象を与えつつ、光と素材の陰影・対比が際だつように意識しました。書斎のある地下階から、やや外光を抑えた、多目的な用途の「土間玄関」を介し、間口7.5mの開口部でテラスにつながる2階に至るまで、ほぼワンルームで構成。屋根上に屋上緑化として採用された草屋根を含め、地下から空までがユルくつながる家となっています。
渡辺篤史の感想
まず穏やかな外観にホッとさせられます。可愛い植栽が道往く人々へのサービスです。そして内部はと言えば、趣味も含め生活をとことん楽しんでいらっしゃる印象。草屋根には驚かされました。まさに都心のオアシスといったイメージ。夜ともなればビール片手に星を数える姿が目に浮かびます。〝センスが良い〟などというありきたりの言葉では語れない素晴らしい建物でした。