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2011年6月24日(金)放送 東京都渋谷区・村田邸 - スロープ庭の家 - |
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ガロウェイ ウイリアム + クリンカース クン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ガロウェイ ウイリアム | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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frontoffice tokyo | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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いかにモダンシティを受け入れるのか? どの様にモダンシティに住むのか? これらの問いはこの小さな家にとっては少々大げさに聞こえるかもしれない。しかしながら、規模や選択肢に制限があるというこのサイズだからこそ、これらの問いにまず答えることが不可欠であった。 施主の方に紹介された敷地は、東京の古い住宅地によく見られる典型的なものであった。都市計画から作り出されたものとは違い、狭い道に隣接して建つ家々のオーナーそれぞれの個性が集合してできた雰囲気のあるエリアである。具体的に、敷地は5.4mx16mの奥行きがあり細長く、その周辺の住宅は法的に認められた範囲を可能な限り最大限に使用して建てられている。結果として、敷地は両サイドの背の高い壁に挟まれ、南向きではあるが向かいの家の目の前に面しているために、採光は南東の角の少しの隙間からのみとのことであった。 文字通り、この敷地は人工的な谷のようなものである。 今回の施主の方は50代のご夫婦で、小さくかつ効率的な居住スペースを依頼。お二人は自分たちの趣味を堪能できるプライベート空間、特にご夫人のための小さなアトリエスペースと書斎スペースを希望された。また日常的に簡単に外へアクセスできるようなアウトドアスペースを設け、可能であれば簡単なガーデニングができるような庭があればと要望された。 設計する最初の段階で、まず敷地とその周辺環境との関係を否定もしくは受け入れるかの選択をする必要があった。幸運にも、施主の方は幼少時代を東京都心で過ごし、常に近所や公共の場と密接した生活を楽しんだ思い出があるという。そこからインスピレーションを受け、敷地そのものと周りの土地や建物全てが景観と成り得るような、囲いや枠を必要としないオープンなデザインをする方向性が決まった。 このデザインコンセプトを採用したことが、周辺環境を気にせず敷地そのものに焦点を当てた、合理的な設計へと導いてくれた。まず始めに、「パストラル・ヴィラ」モデルが適用され得ないモダンで密集した都会にいかに快適な居住空間を作るかという事を考える必要があった。日本では周辺環境を無視しできるだけ家の中にフォーカスすることが常とされているが、我々はそのコンセプトを採用せずによりオープンで開けたデザインができないかと考えた。その結果、施主の方の理解があったおかげで、限られた採光を最大限に活用できる家をデザインすることができた。そこでは空間に流れを与えるために、近所から家の内側が見え得るという可能性を受け入れながら、敷地の長い奥行を活かしたスペースの広さを提案した。 とはいえ、このアプローチはガラスで囲まれた家をデザインすることではなかった。家の中心にある一面の羽型ガラスは内側と外側の境界線になると同時に、可能な限りの陽光を取入れる役目を果たした。バスルームや寝室などのプライベートな空間は一階につくり、薄い和紙の壁紙でできたトンネル仕立ての廊下でつなげ、時間によりその雰囲気が変わるように工夫した。「公共」スペースであるリビングルームは2階に位置し、一階の駐車場の上に突き出している。2階部分は玄関から階段でつながっており、階段はアウトドアのウッドデッキから庭のスロープへと続き、ウッドデッキの手前の大きな踊場はアトリエスペースとして、またそこからカーブした先のなだらかなスロープはギャラリースペースとして使用する事ができる。東と南に面したガラスウォールはそれぞれリビングルームと階段の境界となり、限られた採光を最大限活かすと同時に、スロープガーデンやウッドデッキ、そして背後に続く周辺の家々を見据えている。家のその他のスペースについては外から見えることはないが、敷地の奥行きと共に流れを作り出し、閉鎖されていると言うよりも、オープンな空間が継続しているように感じられると言える。 長く延びる外への眺めにより、家は80平米よりもだいぶ広く感じられるようだ。またスロープになっている庭も、オアシスや禅タイプの庭というよりも活動的なグリーンスペースとして、家を広く見せる効果の一因となっている。庭は外の公道から視界に入り、実際に歩いて来て石段を登ったりその上に座ったりできるように、また植えるものを変えたり毎日そこで生活を送ることで雰囲気に変化を与えるという思いで作った。家自体も同じように、周辺環境に順応させることにより、その周りの存在を否定したり模倣する事のないよう考慮した。どのようにモダンシティに住むかという問いの答えは、この家においては入って来た事柄をシンプルにありのままの姿で、受け入れることであると我々は考える。 |
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同じ年を重ねるなら、こうありたいと思えるご夫婦。便利な都心で“小さく”暮らす終の住処です。設計したのはカナダ人とオランダ人の建築家です。歴史的な背景の違いでしょうか、日本ではなかなか見られない色使いや形が楽しいですね。スロープ庭は、一般的な中庭の何倍もの効果が得られる素晴らしいアイディアだと思います。そして、愛犬シャキちゃんが寛いでいる様子に癒されました。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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