放送したお宅
2011年2月25日(金)放送
東京都練馬区・富樫邸
- 機能を見せる実験的住宅 -

2009年4月

敷地面積 92平米 (28坪)
建築面積 45平米 (14坪)
延床面積 86平米 (26坪)
木造パネル構法
建築費:2500万円 坪単価:96万円



箱型の建物。壁を構造パネルと非構造パネルに分け、非構造部分に開口や設備を設けています。正面に露出しているのは給排水や電気の配管です。

工場で製作した2m×6mのパネルを現場で組み上げる木造パネル構法。短い工期と高い精度を実現します。パネルの寸法は前面道路で運搬できる最大値から決められました。

屋内にも配管が露出。耐用年数の短いものほど外側に取り付ける事でメンテナンス性を高めるのが目的です。照明器具はフレキシブル・チューブを利用して作ったオリジナル品。

2階の居間。フレキシブルボード張りの床の下には潜熱蓄熱式床冷暖房を設置。夏は冷水、冬は温水を流し、年間を通して安定した室温を保ちます。

居間と背板の無い棚で仕切られた台所。洗濯機置き場があり、洗った物を干すベランダも近く、家事動線はコンパクトです。

川沿いの遊歩道に接した南面。窓に設置されているのは外付けの電動ブラインドです。日を受けて蓄熱するブラインドを屋内に置かない事で高い遮熱効果を得ます。

1階は可動式家具と自在間仕切りで仕切った個室。自在間仕切りは、天井の鉄パイプ製のレールから吊る構造です。

水回りも開放的な設計。GPL(GNU一般公的使用許諾)に準じ、設計図・見積もり書など全てのデータがネット上に公開されています。

建築家のプロフィール
中川純
1976年 横浜生まれ。
早稲田大学卒業後、難波和彦・界工作舎勤務、
2006年 レビ設計室設立。
2008年~ 東京大学非常勤講師

レビ設計室
所在地 流山市東初石2-159-1-106
電話 04-7157-3170
FAX 04-7157-3724
E-mail levi@njun.jp
URL http://njun.jp

建築家の一言
拠点の異なる母と兄妹の住まいになります。ライフスタイルが異なること、将来住まい方が変わることを考え、可動性を担保した平面としました。また構造体、仕上げ、設備の順に、耐用年数の高いものから施工する構法によって、将来的な改修工事に対応しました。クライアントのご厚意により、設計図書、見積、シミュレーション等のデータを当事務所のHPにて公開しております。生産や流通システムの構築のレベルから合理性を追求することによって、聡明なご主人が生きられた家を作りたいと考えました。
渡辺篤史の感想
この建物の魅力の1つ目はフレキシビリティです。現在はもちろん、生活スタイルが変化しても対応できるつくりになっています。2つ目はエコ性能の高さです。お邪魔したのは非常に寒い日でしたが、室内はとても快適でした。いずれも将来、永きに渡って使っていける、楽しんでいける設計です。一方、性能一辺倒でない遊び心もあります。遊歩道に面する敷地の良さを生かし、借景を活かす窓やベランダの採り方が見事。季節を感じ、楽しみつつ暮らしていける建物です。