放送したお宅
2011年2月11日(金)放送
東京都世田谷区・間田邸
- 屋内にシンボルツリー -

2010年4月

敷地面積 68平米 (21坪)
建築面積 36平米 (11坪)
延床面積 61平米 (18坪)
鉄骨造
建築費:非公開 坪単価:非公開



袋小路の奥の敷地。隣家に隠れて全体を見ることはできません。煉瓦タイル敷きの駐車場の上には2階の一部が張り出し軒の役割を果たします。玄関扉はガラス引き戸です。

『広場』と名付けられた居間。中心にシマトネリコが植えられています。高さ約6mの吹き抜けの上はガラス天井。駐車場から続く煉瓦タイルの床と相まって外のような空間です。

『広場』を中心に南北に2棟の建物があるような印象。これを強調するのが「南棟」の左右に開けられたスリット窓です。漆喰塗りの壁はコテ跡を残した仕上げで表情を出します。

『広場』から約50cm下がった台所。床と同じ煉瓦タイルを天板に使用しています。ワゴンはキャスター付きで、移動すると床下収納が現れます。

「北棟」2階は奥さんの仕事場。駐車場上のキャンティレバーの部分です。吹き抜け上部に通風窓を設けています。

「南棟」半地下は水回り。天井・壁・床を敢えてムラのある仕上げとし、異国情緒を醸し出します。

「南棟」1階はご主人の書斎、2階は主寝室です。寝室からは屋上に出る事ができ、天窓のメンテナンスも容易です。

窓下部や台所の外などに間接照明が設置されています。家全体の照明をプログラミングする事で、シーンに合わせた照明効果を演出します。

建築家のプロフィール
間田央 + 間田真矢/mamm-design
間田 央(まだ あきら)
'73年 島根県生れ
'98 東京大学大学院工学系研究科修了、大成建設入社
'06-'07 KPF勤務、AIA会員

間田 真矢(まだ まや)
'77年 山口県生れ
'00 日本大学工学部卒業
'00-'01 象設計集団
'01-'05 香山壽夫建築研究所勤務を経て
'06 野村真矢建築設計事務所設立
'10 mamm-design設立

mamm-design
所在地 東京都世田谷区下馬1-27-5
電話 050-2200-7459
FAX 050-2200-7459
E-mail info@mamm-design.com
URL http://www.mamm-design.com/

建築家の一言
敷地は路地の突き当たりの奥まった旗竿状の土地で、周りに建物が建て込んだ息苦しさを感じさせるような場所でした。光や風や緑が豊かな外と、開放的な室内を両立することを私たちはまず考えました。床面積や部屋数で表されるような価値よりも、空間の広がりやそこで生活する私たち家族の関係をいかに豊かにすることができるかどうかが設計を進める上の判断基準となりました。
検討を進める中で、庭と建物を別々に設けるのではそれぞれ中途半端なものになることが分かりましたので、中央の吹き抜け「広場」に大きな木を植え、この広場を中心に生活が展開されるこの家の構成が生まれました。この「広場」に立つと家の中にいるのに街角の小さな広場にいるように感じることもあり、もともと閉塞感のあった土地に立っているのに、この広場からどこまでも自分の意識が広がっていけるような不思議な感覚がします。
風や光などの自然環境に敏感に反応して、花を咲かせ葉を落とすシマトネリコを育てていくことで、私たちの自然への感覚が研ぎ澄まされていくと共に家に対する愛着も高まってきています。
渡辺篤史の感想
共に建築家であるご夫婦が協力して作り上げた家です。
建築設計の仕事は繊細でありながら時に大胆な部分も要求されます。この建物は大胆ですね。周囲を囲まれた敷地で開放感を得るための方法として中庭がありますが、ここは庭=居間。外部と内部が裏返ったような感覚を覚えます。
ありそうでなかった素晴らしい発想の転換です。