放送したお宅
2010年12月17日(金)放送
千葉県市川市・藤本邸
- 遊び心と不思議いっぱいの家 -

2009年8月

敷地面積 79平米 (24坪)
建築面積 35平米 (11坪)
延床面積 69平米 (21坪)
木造
建築費:1740万円 坪単価:82万円



11坪の狭小敷地にチョコレート色の外壁の建物。玄関は黒一色。

黒い玄関から一転して白いリビングダイニングは14畳。南側の大きな高窓は人目を気にせず開放できます。

LDKからは一度玄関を経由する台所。手元を隠せるようにカウンターを高めに設定。LDK側の収納は家具のようにデザインされています。

螺旋階段の上部に天窓を設置、中二階の階段周りをステンレスで囲って天窓からの明かりを更に反射させます。手すりのデザインも建築家のこだわり。

階段を上がると左側に見える書斎。しかし廊下→寝室→書斎の経路をたどります。動線をあえて複雑にすることで11坪の家を広く感じさせます。

廊下の端に設けられた洗面台。白壁に間接照明の光が反射して、鏡が宙に浮いたように錯覚します。浴室はユニットバス。

階段を上がって右側にはウォールステッカーでアレンジした子供部屋。藤本邸はカーテンではなく木板を使った窓を採用。

子供部屋と浴室の2方向から繋がる大きな穴は『下がるロフト』。ちょうど台所の真上にあたります。扉を開くとリビングを見下ろすことができて、大きな高窓から見える緑を楽しみます。

建築家のプロフィール
永石貴義(ながいしたかよし)
1975年 愛知県生まれ
1999年 東京理科大学大学院修士課程修了
1999年~2004年 青木淳建築計画事務所
2005年~ 永石貴義建築設計事務所

永石貴義建築設計事務所
所在地 〒151-0071東京都渋谷区本町3-32-1 405
電話 03-6913-4311
FAX 03-6913-4322
E-mail office@nagaar.com
URL www.nagaar.com

建築家の一言
四角い部屋や細長い廊下、階段を囲む吹抜けといった、日常的な住宅の空間のつながり方やあり方を、少しだけ変えてみました。
吹抜けは、ステンレス張りの大きなトップライトのようになり、四角い穴によって行き来のできない、階段ともつながらない廊下は、部屋のようになりました。寝室の壁面収納の一部は引き伸ばされて、洗面室兼廊下となり、床に丸い穴がぽっかりと開いた子供室のウォークインクローゼットは、光庭のようになりました。扉の向こう側、吹抜けの向こう側が、まるで自分の家ではないような、つながらない場所に唐突につながってしまったかのような感覚となります。それは、この小さな住宅に、物理的な空間の枠を飛び越えるような広がりを与えてくれるのではないかと考えました。丸い穴の下に広がる床下空間は、天井と床が反転したような、秘密の場所となっています。
渡辺篤史の感想
とても楽しい建物ですよね。表から見ますとボックスです。ミルクブラウンといいますか、ココアといいますか。いい色です。そこに玄関扉は白、玄関に入ると漆黒の闇です。更に扉を一枚開けますと大空間のリビングダイニング。仕掛けといいますか、創意工夫といいますか人生を楽しむエッセンスがあちらこちらにあります。特に嬉しいのが窓にカーテンを引きたくないということでの扉ですよね。これは寝室ですと闇が生じますし、プライバシーが守れて安心感がありますね。居間には上下2枚の大扉がありますけども、開きますとどうでしょう。この抜けのある大空間。広い空間を更に素晴らく演出してくれる、そんな感じが致します。