放送したお宅
2010年11月19日(金)放送
神奈川県川崎市・伊東邸
− 夫のガレージ 妻のキッチン −

2010年3月

敷地面積 141平米 (43坪)
建築面積 70平米 (21坪)
延床面積 124平米 (38坪)
木造
建築費:非公開 坪単価:非公開



ほぼ正方形の平面を3×3のマス目に切り分け、それぞれに部屋としての機能を与えた間取り。部屋ごとに違えた床・天井の高さが外観にも現れています。

1階中央は車庫。居室から愛車を眺めらるよう上・左右にガラス窓を配置。木をアルミでサンドイッチした扉はサイズの割りに軽く、多数のスリット状の明かり取りが効果的。

1階東側は食堂。白一色の内装に色鮮やかな家具を配置。2階の居間との間の折れ戸を開けば広大な一室空間が生まれます。家庭用としては最大級の赤い電気オーブンが目を惹きます。

お菓子教室を開くことを前提とした台所。大きなアイランド調理台は大理石天板で生地をこねたりするのに便利。通りに面した水平窓は教室の“ショーウインドウ”です。

北西角の和室へは台所を通ってアクセス。更に和室から書斎へと繋がります。書斎は車庫と視覚的に繋がる他、梯子で2階の居間とも繋がっています。

2階中央は居間。天窓や2か所のテラスに面した窓など様々な角度から採光します。車庫の上に位置するので、床の一部を透明ガラスとして愛車を真上から眺めます。

居間から半階上がった子供室。子供たちの要望で赤いブランコが設置されています。居間との間は壁が無く引き戸で仕切っているだけなので、開けば更に広大なワンルームに。

2階北側の洗面室は、やはり天窓で明るさを確保。ミニキッチンを設置して、お菓子教室開催中にも軽食ができるよう配慮。浴室にも天窓があります。

建築家のプロフィール
山縣 洋(やまがた よう)
1962年 東京都生まれ
1985年 東京工業大学工学部建築学科卒業
1987年 東京工業大学修士課程修了
1987年 竹中工務店入社
1994〜1996年 OMA(オランダ)勤務
2002年 山縣洋建築設計事務所設立
現在 明治大学・東海大学非常勤講師

山縣洋建築設計事務所
所在地 神奈川県川崎市多摩区三田1-26-28 ニューウェル生田ビル302
電話 044-931-5737
FAX 044-931-5738
E-mail yo-yamagata@mse.bigelobe.ne.jp
URL http://www5d.biglobe.ne.jp/~yoy/

建築家の一言
車が好きな旦那さんとパティシエの奥様、元気な5歳の女の子と2歳の男の子の4人家族のための住宅です。旦那さんは趣味の車のロードスターのためのビルトインガレージを、奥様はケーキ教室ができる広く道路から見えるキッチンを希望されました。また子供たちは子供部屋にブランコがほしいとか、下の階が見えるガラスの床がほしいと無邪気に言いました。 巨大なジャングルジムのような、わくわくするような動的な空間が展開しています。レベル差のある床や視線の抜けなど、日常生活のなかでも刺激を受けて感覚を覚醒するような空間となっています。生活しているといつのまにか体を動かし、気分も良くなっていくような、元気のでる空間になることを期待しました。
渡辺篤史の感想
趣味を最大限に生かした家作りですね。クルマ好きのご主人のための車庫と奥さんがお菓子教室を開くための台所が大きな要素となっています。そうした趣味の空間を生活空間から切り離すのではなく、生活の一部として使えるよう配慮されています。全ての空間が少しずつ繋がり、重なり合って、大きな1つの家を形成しているのです。楽しみ方に限定はありません。家族が自由に住まい方の可能性を広げていける建物でした。