放送したお宅
2010年10月8日(金)放送
神奈川県横浜市・中佐邸
- ふたつひとつ家 -

2009年9月

敷地面積 250平米 (76坪)
建築面積 106平米 (32坪)
延床面積 179平米 (54坪)
木造
建築費:3900万円 坪単価:72万円



旗竿地に建つアールが特徴的な外観。母屋と離れの2棟あるため、敷石で客人を自然と母屋へ導きます。

母屋の1階は27畳のLDK。中佐邸は柱を2間(約3.6m)間隔に配置。日本家屋に用いられる技法で、空間作りをしています。

以前、本格的に料理を学んだ奥さんのために、建築家のご主人はプロ仕様の台所を設けました。将来、料理教室を開くことも視野に入れているようです。

吹き抜けの天井高は9m、切妻の形をしています。2階まで貫く東側一面の棚には中佐邸の『模型』。シンプルながら外観の特徴を捉えた作品です。

2階もワンルームですが、用途に応じて仕切れるように梁に溝を掘ってあり、日本家屋の技法が使われています。

カーテンで仕切った浴室はFRP仕上げ。浴槽が大きくても十分な広さを確保。台形のバルコニーに面してガラス張りです。

離れの1階は和室。畳も外壁に沿ってアールに加工するこだわり。2階は趣味室。母屋と同じで、切妻屋根で広さを演出。

建築家のプロフィール
中佐昭夫
1971年 広島県生まれ
1995年 広島大学工学部第四類(建設系)卒業
1997年 早稲田大学理工学研究科修士課程修了
1997~2000年 山本理顕設計工場
2001年 一級建築士事務所ナフ・アーキテクト&デザイン(有)共同設立

ナフ・アーキテクト&デザイン
所在地 東京都世田谷区奥沢2-12-3 丸長ビル303
電話 03-5731-7805
FAX 03-5731-7806
E-mail tokyo@naf-aad.com
URL http://www.naf-aad.com

建築家の一言
少しだけ離れて建つ2つの家に1つの家族が住むという計画で、私の自宅です。

敷地いっぱいに大きな1つの家のボリュームを仮定して、それを曲線でくりぬき、残った2つのボリュームを実際の家として建てています。

残った2つの家が「元々1つのボリューム」という仮定に従って、木軸の構造形式や仕上げ材料を共通させ、離れているけれども繋がっているような関係を持たせています。くりぬいた部分は2つの家へのアプローチを兼ねた中庭になっています。
中庭に面した大きな窓から、近所にある山の緑や空が見えます。

たとえば夜に映画を見たり、来客を泊めたり、持ち帰った仕事をする家が、もう1つの家と離れていれば、かなり自由に振舞うことができます。将来、祖父母を招いて同居するにも、思春期の子供に部屋を用意するにも、離れているぐらいがちょうどいいのかもしれません。

家を少しだけ離して2つ建てるのは、リゾート地に別荘を構えたり、農家が母屋と納屋を備えたりするのとは違うことを目的にしています。都市部で生活する毎日に、暮らし方の選択肢をいろいろ増やすことができないか、試してみたいと考えました。

渡辺篤史の感想
壁面の棚に仕事柄といいますか、趣味の延長か色々な物が置かれています。とりわけといえば、やはりこれですよね。家の模型はたくさん見てきましたけども、初めてですね。非常に分かりやすい。そしてこういう物を作れる・考えられるということは良いセンスの持ち主であるということですよね。大学の緑を背景にして、この建物はあるんです。個性的な建物はあっていいんですが、遠くから見るとどこかで全体がバランスとれているというのが理想だと思うんですよね。街並みを構成する一つの要素なんですが、こんな建物がずっと広がっていくと、すてきな街になりますよ。