放送したお宅
2010年7月16日(金)放送
神奈川県鎌倉市・佐藤邸
- まるで避暑地 崖地の家 -

2009年3月

敷地面積 164平米 (50坪)
建築面積 60平米 (18坪)
延床面積 114平米 (34坪)
鉄筋コンクリート造+一部鉄骨造
建築費:非公開 坪単価:非公開



崖地に建つコンクリート打ち放しの建物。外壁は一部ガルバリウム張り。コンクリートの壁面に、偶然転写されたという木目が建物を引き立てます。

ガラスの引き戸で仕切った玄関は、ご主人の書斎としても活用。庭にある鉄の階段は、2階のデッキへと繋がります。

玄関脇の黒いらせん階段を上がれば、20畳のLDK。竹林に面した立地を最大限に生かすため、東側一面を大開口にしました。

竹林の緑を楽しみながら作業できるアイランドキッチン。吊り戸棚で収納性を高めました。

台所奥は1段下がった水回り。4枚の引き戸を開け放てば、まるでLDKと一体化。窓から見える擁壁がプライベートな空間を作り出します。

階段横は3畳の和室。造り付けのテレビ台で視線を遮ることによって、落ち着いた空間に。居間のソファは建築家オリジナルのデザインです。

東側の山腹に設けたデッキは竣工から7カ月後に完成。森林浴を存分に楽しめる贅沢な空間です。

さらに階段を上がれば、フリースペースと寝室。竹林の緑が楽しめ、寝室の上にはロフトがあります。

建築家のプロフィール
谷尻 誠
1974年 広島県生まれ
1994年 穴吹デザイン専門学校卒業
1994年~1999年 本兼建築設計事務所
1999年~2000年 HAL建築工房
2000年 建築設計事務所Suppose design office 設立
現在 穴吹デザイン専門学校非常勤講師

Suppose design office (Head office)
所在地 広島県広島市中区加古町13-2-3F
電話 082-247-1152
FAX 082-298-5551
E-mail info@suppose.jp
URL http://www.suppose.jp

Suppose design office (Tokyo office)
所在地 東京都渋谷区富ヶ谷1-21-8-403
電話・FAX 03-6416-8581
 
建築家の一言
北鎌倉の分譲地の外れにある、段差をもつ敷地という一見ネガティブな敷地条件において、建物が段差を跨いで建つことで、魅力的な住空間を実現させる計画です。
建築の考え方は、上段・下段共に擁壁付近はフーチングなどの影響で支持としては不確定要素が多いため、少し距離をおいたところにコンクリートによるシャフトを配置し、シャフト間に鉄骨を架け渡すことで住空間と敷地の安全性を同時に確保しています。シャフトと擁壁の関係によって生じた、上下段の隙間のスペースは庭として活用しながら、和の庭・バステラス・緑の庭とさまざまな自然の場をつくり出しています。コンクリートによる閉じて静かなスペースと、鉄骨による開放的なスペースが構造形式によって導かれ、お施主様の求められた周辺の自然とのかかわりのある豊かな住空間を実現できたのではと思っています。
敷地のもつ力に逆らうことなく、受け入れることで生まれる豊かさを今後も探し続けていきたいと思っています。
渡辺篤史の感想
隣が竹林というすばらしい環境に建物を建てました。向こう3軒両隣には閉じて、緑に対していっぱいに開きました。内部に入りますとモダンです。それもただおもしろいというだけではなく、生活がしやすいように設計されています。建物を建てるには難しい土地だったと思います。しかし、根元から頂までの大樹が見えるピクチャーウィンドウを建築家はプレゼントして、見事期待に応えました。