放送したお宅
2010年7月2日(金)放送
神奈川県横浜市・三石邸
- 幅3.6m 隙間ハウス -

2009年3月

敷地面積 271平米 (82坪)
建築面積 39平米 (12坪)
※増築部
延床面積 77平米 (23坪)
※増築部
在来木造
建築費:非公開 坪単価:非公開



親世帯の増築として建てられた東西3.6m×南北12.0mの細長い建物。玄関を入ると、最下階から最上階まで貫くアカシア乱尺張りの壁が印象的です。

居間・食堂・台所は2階。平面・立面とも南に向かって広がる形状。高い位置の開口が光を採り込み、周囲を囲まれた敷地に明るい空間を生み出します。

下階から上って来たアカシア乱尺張りの壁は、2階では台所カウンターに。背面収納は扉の無い部分と半透明の扉で、カラフルな什器類を装飾として見せます。

ペンダント照明は食卓と同時に天井も照らす構造。ルーフバルコニーは木張りの上、近隣の住宅の屋根を越えた眺望が広がり、リゾートのような雰囲気を醸します。

親世帯とは2階でブリッジによって接続されています。渡った先をリフォームして、和室・クローゼット・トイレとして利用しています。

1.5階は子供室。現在は、ご主人がAVルームとして使っています。こちらにもアカシア乱尺張りの壁が露出しています。

1階にある浴室。脱衣室との仕切りをガラスとして開放感を演出します。洗面室は敢えて脱衣室と分けました。

1階南側にもウッドデッキを設置。親世帯と庭を共用します。寝室は半地下。ここにもアカシア乱尺張りの壁が露出。家全体の一体感を高めています。

建築家のプロフィール
安原 幹(SALHAUS)、大坪 輝史(6D)
安原幹(やすはら もとき)
1972年 大阪府生まれ
1998年 東京大学大学院修士課程修了
1998年~2007年 山本理顕設計工場
2007年 日野雅司・栃澤麻利とSALHAUS一級建築士事務所 共同設立
2010年~ 日本大学理工学部非常勤講師

大坪 輝史(おおつぼ てるふみ)
1976年 北海道生まれ
2000年 武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業
2000年~2007年 近藤康夫デザイン事務所
2007年 木住野彰悟と6D共同設立


株式会社SALHAUS
連絡先 〒150-0033 渋谷区猿楽町6-11プリムローズマンション401
電話 03-3463-5788
FAX 03-3463-5788
E-mail yasuhara@salhaus.com
URL http://salhaus.com

6D
連絡先 〒106-0031 港区西麻布1-8-4-4C
電話 03-5913-8891
FAX 03-5771-7811
E-mail otb@rokud.com
URL http://rokud.com
 
建築家の一言
親世帯と親戚世帯に挟まれた、間口5m弱の細長い敷地に、建主夫婦のための新しい住まいを建てることになりました。敷地に建て増しできる建築面積は12坪弱に限られ、まるで新幹線の三人掛けシートの両側に先客が居て、真ん中のシートに座ろうとする状況です。そんな状況下で快適な環境を得る方法は、シートをリクライニングさせて自分のお腹の前にゆったりとした「抱き」の空間をつくることです。この家も、そんな立ち方をすればよいと考えました。
南側に、両隣の2階から半階あがったルーフバルコニーを設け、最上層はこれと連続する気積の大きなワンルームの家族室としました。スキップフロアの構成なので、縦方向の広がりをもった階段を通じて家全体に同じ空気が行き渡ります。アカシア乱尺張りの壁は、この家の中心となる大黒柱ならぬ「大黒壁」です。結果として、道路から奥まった外観からは想像もつかない奥行き感を持つ家になりました。
親世帯が住む母屋は耐震補強を施し、新しい家と2階レベルで連結しました。玄関は別々ですが扉一枚で行き来ができ、両世帯の適度な距離間をつくり出しています。
 
渡辺篤史の感想
俗に「ウナギの寝床」と呼ばれる細長い敷地にたつ、間口3.6mの細長い建物です。法的規制や強度面での要求もあったのだと思われますが、南に向かって開く形状や複雑な面構成の天井が、実際の面積を超える広がりを感じさせます。スープの冷めない、それでいて互いのプライバシーを尊重した絶妙な距離感の2世帯同居。ここで、お子さんはたくさんの愛情に包まれて育っていくんですね。