放送したお宅
2010年6月11日(金)放送
東京都調布市・伊藤邸
− 光と緑を採り込む高窓の家 −

2008年12月

敷地面積 101平米 (33坪)
建築面積 39平米 (12坪)
延床面積 76平米 (23坪)
木造軸組み
建築費:1890万円 坪単価:82万円



直角の角がない変形敷地。建物も敷地に合わせ変形した平面を持ちます。プライバシーに配慮して、路面の開口は水平に連続した高窓以外は控えめです。

玄関を入ると目に飛び込んで来るのが螺旋階段。奥に行くに従って広がる階段室が広がりを感じさせます。2階までの縦スリット窓から採光します。

2階に上がると18畳大のLDK。連続する高窓は採光はもちろん、向いの緑地を借景します。白い壁は、調湿性の高い漆喰塗り。

建物の変形に合わせ「平行四辺形」になった台所。対面式のカウンターも「く」の字形になっています。照明と換気扇フードは、もちろん特注品。

濃い茶色の収納は、奥さんがデザインしたもの。飾られているのは、お父さんの形見の品々や吹きガラス職人である弟さんの作品たちです。

LDKに隣接する5角形の子供室。LDKと子供室に「L」字形に囲まれるようにテラスを設置。下階の採光を確保するため、テラスの床はグレーチングです。

1階の浴室も台形。「L」字形に囲まれた中庭に面しています。こちらにテラスを設置。こちらは木製です。

寝室の床は杉、天井・壁はラワン合板張り。仕上げにメリハリを付けて初期コストを抑えました。光源の見えない凝った間接照明にこだわりが感じられます。

建築家のプロフィール
吉原 健一
1963年 京都生まれ
1986年 関東学院大学工学部建築学科卒
卒業設計ディプロマ賞、三越ファニチュァコンペ入選
1986年 北川原温建築都市研究所勤務
1992年 商環境デザイン賞入選
1993年 光風舎1級建築士事務所 設立
1995年 京都市HOPEすまい文化賞受賞

共著
住宅作家になるためのノート(彰国社)
間取りプランのつくり方(ナツメ社)
老いの発想で家づくり(彰国社)

光風舎1級建築士事務所
連絡先 世田谷区深沢3-8-14
TEL 03-5706-5400
FAX 03-5706-5037
E-mail info@koufusha.com
URL http://www.koufusha.com/
 
建築家の一言
変形した菱形の敷地、建物も敷地に沿わせ変形させ、南側に庭を取り込むように配置しています。屋根も傾斜しているため、直角部分が少なく、平断面とも微妙な角度がついた内部空間となっています。見る方向によって、開いてゆくような空間やパースのように収束してゆく空間、それらは限られた空間に奥行きを与え、様々な生活シーンを生み出しています。
そして外部からの視線を避け、隣家との隙間や高い位置より、廻りの風景・光や風を取り込むよう開口部を計画しています。連続したハイサイドライトは、リビング・キッチンテラス・・・どこからでも大きな木が望め、壁には時間と共に刻々と変化する光と影が映り込みます。細長いスリット窓は、光が入ると共に風の通り道の役目も果たしています。
 
渡辺篤史の感想
緑豊かな環境です。ご主人はグラフィックデザイナー、奥さんはインテリア関係の仕事をなさっていたという事で、いたる所にこだわりを感じます。色、素材、そして置いてある物たちも素敵です。居間には、お父さんの描いた絵が飾られています。親子共に絵心があります。親の背をみて子は育つと言われますが、正にその通りですね。そして、息子さんも絵が大好きなんです。この伸び伸びした環境で、これからもすくすくと育って頂きたいですね。