放送したお宅
2010年5月28日(金)放送
東京都世田谷区・村上邸
- 8坪・ツボミ形の家 -

2009年12月

敷地面積 47平米 (14坪)
建築面積 26平米 ( 8坪)
延床面積 77平米 (23坪)
地下RC造、地上木造
建築費:2400万円 坪単価:100万円



両隣の家に隠れるような旗竿敷地の奥。斜線規制によって生まれた尖った外形と、斜めにカットした外壁材が描く“波模様”が、花のツボミを思わせます。

室内は6層のスキップフロア。上下階と空間を繋げる事で広々感を演出します。内壁も外壁と同様、合板を斜めカットして張り“波模様”を描いています。

1.0階は奥さん経営のクッキーショップ。大きなガラス窓からお店の様子が見えます。居住スペースとは、大きな4枚のガラス引き戸で仕切ります。

1.5階はダイニングキッチン。開口部は隅を丸くカットしてアルミサッシュを隠し、柔らかい印象を作ります。薄い鉄板の階段も軽やか。

2.0階は居間。広さは5畳強ですが、屋根型そのままの大きな吹き抜けと、目の錯覚で距離感が曖昧になる“波模様”の壁の相乗効果で広々と感じさせます。

最上階=2.5階は子供室。天井が低いので、デスクは吹き抜けに脚を投げ出すようにして座る造作。

地下0.5階は主寝室。半地下のため、腰から上は木、下はコンクリートの仕上げ。スキップフロアの効果で、こもった印象は全くありません。

地下1.0階は水回り。洗面室にはドライエリアを通じて自然光が入ります。トイレと浴室にドアはなく、仕切りはカーテン。浴室の床は水に強いサーモウッド張りです。

建築家のプロフィール
坂野由典
1969年 愛知県生まれ
1996年 コロンビア大学大学院建築学科修了
同大学院在学中の作品がcolumbia new lineの表紙を飾る
1997年 隈研吾都市建築設計事務所勤務
慶応義塾大学環境情報学部環境情報学科の隈研究会にて設計指導を務める
2001年 現事務所設立

flathouse
連絡先 東京都渋谷区上原2-1-11-401
TEL 03-5738-3382
FAX 03-3481-0383
E-mail sakano@flathouse.net
URL http://www.flathouse.net/
 
建築家の一言
Tsubomi House / Twitter House
建坪8坪に満たないとても小さな建築です。
5畳程度の小さなスペースが直階段を中心に数珠繋ぎに並んでいます。
1階のクッキーショップでちょっと立ち話して、1.5階のダイニングで簡単にお茶をして、2階のリビングでちょっとだけTVを見て、1.5階のダイニングに戻ってちょっとだけ携帯メールをする。半階ごとに小さな区切りをつけながら展開する日常空間は、まるで小さなつぶやきで区切りをつけながら展開するツイッターを連想させる。
現代人の生活はどんどん忙しくなっていき、生活空間はどんどんコンパクトになっていく。
そんな社会を生き延びるための住宅の提案。
 
渡辺篤史の感想
クロワッサンのようにも見える可愛らしい外観。内部は6層のスキップフロアの建物です。
地階から最上階まで仕切りがなく、ワンルーム感覚ですが、各階に見せ場があります。ダイナミックな吹き抜けの居間、小ぢんまりとして居心地の良いダイニング、静謐な寝室と水回り。建物のデザインもさることながら、家具・小物類からもご夫婦のセンスが感じられます。
私、お店で出されているクッキーとケーキをご馳走になりました。作り手の一所懸命さが伝わる味に大満足です。ご馳走様でした。