放送したお宅
2010年5月14日(金)放送
埼玉県さいたま市・松本邸
- “古典”と“現代”が寄り添う家 -

2006年6月

敷地面積 104平米 (31坪)
建築面積 51平米 (15坪)
延床面積 126平米 (38坪)
木造
建築費:非公開 坪単価:非公開



外壁は黒いガルバリウムのシンプルな外観。年代を感じさせる玄関扉は、以前の家の扉をそのまま利用しました。

およそ3畳の土間玄関。玄関の隣は、陶芸が趣味のご夫婦のアトリエ。間仕切ることができます。

居間と玄関を仕切る3枚の引き込み式の戸に貼り付けた唐紙。京都まで買い付けに行ったこだわりの一品です。

家具が印象的で『応接間』を現代的にアレンジしたような空間になりました。階段下にミニキッチン、その隣に水回りを配置しました。

1~3階まで一直線の階段。北側一面は天井まで棚。アンティーク好きなご主人のコレクションが飾られています。

食堂・台所の広さはおよそ10畳。吊り戸棚を設けず広さを演出し、長い台所で収納力を確保。冷蔵庫を目隠しする衝立のステンドグラスはご主人の持ち込みです。

片流れ屋根の構造と同じで、西に向かって天井が高くなる食堂。吹き抜けが3階とを緩く繋ぎます。和室の襖は緑のひょうたん柄の唐紙を選択。

3階はご主人の書斎。三角錐の天窓が3階と吹き抜けになった台所に光を落とします。ここにもご主人のコレクションが飾られています。

建築家のプロフィール
彦根アンドレア
1962年 ドイツ生まれ
1987年 シュトゥットガルト工科大 首席卒業
1988年 團・青島建築設計事務所 入所
1989年 磯崎新アトリエ 入所
1990年 株式会社彦根建築設計事務所 設立

賞歴 第9回JIA環境建築賞最優秀賞
  第12回木材活用コンクール・優秀賞
  第11回木材活用コンクール・部門賞(木材住宅部門)

彦根建築設計事務所
連絡先 〒157-0066 東京都世田谷区成城7-5-3
TEL 03-5429-0333
FAX 03-5429-0335
E-mail andrea@a-h-architects.com
URL http://www.a-h-architects.com
 
建築家の一言
オーナーのM夫婦が望んだのは、「大正から昭和初期にかけて建てられたような趣のある家」という、夫妻が長年収集したアンティークの家具や時計がなじみ、夫婦共通の趣味である陶芸にいそしむことができ、これまで以上に生活を楽しめる住まいです。
建物とインテリア、そして現代と過去をつなぐ役割として「唐紙」を提案し、床から天井まである引き戸に用いました。また、唐紙を貼った扉を開けた状態と閉めた状態では、印象が変化していくその様が面白いということを再発見しました。
訪れた人を圧倒するが階段で、「時段の家」と命名したように3層からなるフロアを一直線につなげる階段は、刻一刻と変化する光が心地良く感じられます。階段わきの構造柱を生かして造作した飾り棚にアンティークの柱時計や自作の器を並べた空間や唐紙を眺められるリビングなど、家の中には様々な居場所が散りばめられ、つい時間を忘れて光が刻一刻と変わる様子が楽しめます。
 
渡辺篤史の感想
建物には色々な意味合いがあるんですね。若い夫婦が希望に溢れて、子育てをすることもあるでしょう。そして子育てが終わったときにどう過ごすのか。とても大きく嬉しいテーマを見事に成しました。外観は美しく、使いやすくて丈夫な器。その中でご夫婦で陶芸を楽しみ、更にご主人はアンティーク収集もされています。『物を集める、それを見つめる、更に作り出す』ということなんです。量産の物もいいのですが、手作りの物は特に有難いです。建築家とご夫婦のセンスでとても素晴らしい空間になりました。