放送したお宅
2010年5月7日(金)放送
東京都世田谷区・小幡邸
− 求めたのはシンプルデザイン 鉄骨むき出しハウス −

2007年12月

敷地面積 52平米 (16坪)
建築面積 36平米 (11坪)
延床面積 100平米 (30坪)
S造
建築費:2500万円 坪単価:83万円



外観は4角形にこだわりました。通常であれば斜線規制で斜めになるはずの北側も直角にカット。カットされた部分をテラスにしています。

玄関を入ると、モルタル床のスタディルーム。地面から18センチ下がった多目的スペースです。構造むき出しの1室空間を収納棚で仕切って使い分けています。

ダイニングキッチンは3階。構造をむき出しにしたのは、インテリアが映えるシンプルなデザインを求めたのと、限られた面積の中で最大の面積を得るためです。

食卓の長さは約4.5m。もちろん家と一緒にデザインされたオリジナルです。北側のテラスはダイニングをさらに延長させます。

扉付きの収納の無いシンプルな台所。レンジフード一体の吊り戸棚は厚さわずか3.2mmの鉄板で作られた、こちらもオリジナル品です。

3階の一部にロフトを設け、寛ぎの空間として使っています。屋上テラスに出ると、近隣の建物の屋根を越えた眺望が広がります。

2階はプライベート空間。主寝室もやはり構造むき出し。一部をポリカーボネート複層板で仕切って収納に。子供室は将来仕切れるよう左右対称です。

南向きの洗面室は鏡を低い位置に設け、高窓から採光します。洗面室と透明ガラスで仕切られた浴室も、床はモルタル、壁・天井はFRPでシンプルに仕上げました。

建築家のプロフィール
芦沢 啓治
1995年 横浜国立大学建築学科卒業
1996-2002年 設計事務所
2002-2004年 super robot
2005年 芦沢啓治建築設計事務所
2006年 株式会社芦沢啓治建築設計事務所(一級建築士事務所)

株式会社 芦沢啓治建築設計事務所
連絡先 東京都文京区小石川2-17-15
TEL 03-5689-5597
FAX 03-5689-5598
E-mail info@keijidesign.com
URL http://www.keijidesign.com/
 
建築家の一言
都心の狭小地に、コストや法的な様々な要件をクリアしながら、
作りやすく、ローコストであり、性能を確保したうえで、様々なファンクションを織り込んだ。
4層の住宅というよりは、まるで手作りのような、簡便なシステムによって組みあがった小屋のようなものであり、その軽快感が、この住宅を住まいという重さから開放している。
 
渡辺篤史の感想
20世紀半ばの建築家チャールズ・イームズが建てた『ケース・スタディ・ハウス』は、大量生産の工業製品を組み合わせて造られましたが、とても素敵でした。この建物には、それに通じるものを感じます。鉄骨の構造にALC=軽量気泡コンクリート=の板で壁を張っただけのシンプルな仕上げです。
しかし、シンプルゆえに好みの家具を置くなどして彩ることができます。むしろ、ご家族が、その簡素さを積極的に楽しんでいる雰囲気が伝わってくる建物です。