放送したお宅
2010年3月19日(金)放送
東京都中野区・常安邸
− 石の箱、木の箱、花柄の箱 異素材の手触りを楽しむ家 −

2009年4月

敷地面積 135平米 (41坪)
建築面積 62平米 (19坪)
延床面積 105平米 (32坪)
木造
建築費:3050万円 坪単価:95万円



南北に細長い敷地。額縁のように軒の出た外観はトンネル状の構造を象徴しています。玄関を挟んで、左側は石片、右側は木片を積み上げた箱のように見えます。

玄関ドアをくぐっても、石と木の積層壁が外から続いています。木の「箱」に設けられた2つの「隠し扉」の中は収納になっています。

石の「箱」の中は、半階上がったスタディルーム。デスクの向かい側は観賞魚用の水槽。魚の世話用シンク、猫用トイレがビルトインされています。

スタディルームから玄関上の橋を渡ると、ご主人の書庫兼書斎。趣味の本やグッズでいっぱいです。高い位置の窓は、奥さんのミシンコーナーと繋がっています。

2階LDKは13畳大。南面の大開口には、北面と同じく大きな軒が出ています。エアコンまでも造作家具の中に収め、すっきりした印象を作っています。

食卓一体の長いカウンターの台所。床をグレーチング+透明アクリルにして階下に明かりを落とします。すぐ隣にパントリー、さらに奥は奥さんのミシンコーナーです。

宙に浮いた花柄の「箱」の中は子供室。ロフトは「ドラえもん」イメージの押入れベッドです。居間との間の縦軸回転窓が風と親子のコミュニケーションを助けます。

1階の浴室は南向きの明るい空間。寝室は横格子に囲まれた落ち着いた空間。庭へと続く廊下は、家族の作品を飾るギャラリーです。

建築家のプロフィール
西田 司+後藤 典子
西田 司(にしだおさむ)
1976年 神奈川県生まれ
1999年 横浜国立大学工学部建築学科卒業
2002〜05年 東京都立大学大学院助手
2004年〜 オンデザイン
2005〜07年 首都大学東京研究員
2006年〜09年 横浜国立大学大学院(Y-GSA)助手

後藤 典子(ごとうのりこ)
1995年 信州大学人文学部卒業
2002年 早稲田大学芸術学校建築設計科卒業
2002〜05年 カガミ建築計画
2006年〜 オンデザイン


オンデザインパートナーズ
連絡先 神奈川県横浜市中区本町5-49 本町ビル401
TEL 045-650-5836
FAX 045-650-5837
E-mail nishida@ondesign.co.jp
URL http://www.ondesign.co.jp
 
建築家の一言
延床約30坪に夫婦と子供2人の他、犬2匹、猫4匹という大家族だったので、一人一人(一匹一匹)が居場所をもちつつ、全体では空気や光が流れるような家を目指しました。奥様の家事室やご主人の書庫、子供達のロフトなどは最小限で隠れられる場所としてつくり、皆が共有で使う書斎やキッチンダイニング、テラスなどが大きな空間に点在し、開放的で互いの気配が感じられるように計画していきました。犬や猫もそれらの狭間を走り回ったり、日溜まりを見つけて昼寝をしたり、風が抜ける涼しいところに集まれるような空間づくりです。 このような動物共生住宅は、多くの場合、人のために設えた空間に動物が入り込むというケースがほとんどです。動物も人間も思い思いに過ごす時間は必要で、その時々の季節や気分によって居場所も変わります。そのための両者にとって最適な居場所づくりを、何度も打ち合わせし、時には実験のようなことをして検討してできたお宅です。
 
渡辺篤史の感想
家族とたくさんの動物たちが共に暮らす家です。それぞれの個室、居場所が確保されていますが、横格子や窓などを通して空間が繋がり、完全には孤立しません。仲の良い家族が互いの存在を意識しながら生活できます。
私が今日ファサードを見ての第1印象は、額縁のようだなという事でした。中にお邪魔して、おじいちゃんの油彩画、お父さんとご主人のイラスト、そして子供たちの作品が飾られているのを拝見し、その印象をさらに強くしました。家族の生活を描く建物です。