放送したお宅
2010年1月22日(金)放送
千葉県柏市・釜崎邸
- 高さ10mの大吹き抜け スリットの入った家 -

2009年5月完成

敷地面積 82平米 (25坪)
建築面積 43平米 (13坪)
延床面積 105平米 (32坪)
鉄筋コンクリート造
建築費:非公開 坪単価:非公開



建坪約13坪の白い塔。中央に大きな縦スリットが入り、2つに割れているようにも見えます。ポーチに灯りを落とすガラス窓には花などを飾って楽しめます。

階段ホールの吹き抜けは高さ約10m。外観のスリット窓との相乗効果で室内全体に明かりをもたらします。オーバーハングになった北側の壁が大迫力!

ホールの一画に構造と一体のコンクリート製デスクを作り付けました。母娘の勉強スペースです。壁には、ご主人が趣味で描いた絵がたくさん飾られ、ギャラリーの趣。

1階北側に主寝室と水回りを配置。生活動線をコンパクトにまとめています。

2階は、ワンルームのLDK。居間と食堂・台所に段差を設け床下を収納にしています。吹き抜けに対面したカウンターはコンクリート削り出し仕上げ。

居間は食堂・台所に対して床が下がっているだけでなく、天井も吹き抜けにして開放感を演出。南側の壁に手掛かりを付けてフリークライミングができるようになっています。

台所は収納を多く設け、居間側から見た時に生活感が出ないようデザインされています。3階のバルコニーは斜めの壁に合わせてドアも台形。もちろん別注品。

3階は、2つの個室。長女の部屋は奥に専用の洗面台が設えてあります。クローゼットへはスリット窓と吹き抜けに面した橋のような部分を“渡って”アクセスします。

建築家のプロフィール
岡部克哉
1966年 群馬県桐生市生まれ
1990年 日本大学卒業
1992年 日本大学大学院修士課程修了
1994年 東京芸術大学大学院修士課程修了
1995年~1997年 前橋市立工業短期大学(現:前橋工科大学)非常勤講師
1995年~1997年 岡部憲明アーキテクチャーネットワーク勤務
1997年~ (株)岡部克哉建築設計事務所 設立
1998年~2001年 東京芸術大学大学院博士課程在籍

株式会社岡部克哉建築設計事務所
連絡先   東京都港区芝1-13-19 モービルワン2F
TEL   03-5419-3331
FAX   03-5419-3332
E-mail   koo@koo.co.jp
URL   http://www.koo.co.jp/
 
建築家の一言
この家は3層吹抜けの階段室を通して、間接的に光と風を各部屋に取込むことで直接光や風を取り込むのとは少し違った柔らかさを備えられるよう考えました。
この家は白い箱が、斜めの壁で3層吹抜けの階段室とその他の部屋に分けられ、繋がり、立体的なワンルームのような室内になっています。
5つの窓のある階段室はいろいろな方向から差し込む光に満たされ、複雑に反射する過程でまろやかになった柔らかい光が、隣り合うLDKや子供室を明るく照らします。
また、階段室のトップライトを開ければ、各部屋の開け放たれた窓から新鮮な空気が建物内に入り込み、心地よい柔らかな風を感じます。
3層吹抜けの階段室の上部を細くすることで煙突効果による上昇気流に加速が生じ、風の流れをよくする。そんな効果を期待し、建物内の大きな壁を斜めにしました。
光の反射や風の流れを考える事なしには、この斜めの壁は生まれてこなかったと思っています。この斜めの壁がこの住まいの大きな特徴となり、家族に愛される家になることを願うばかりです。
 
渡辺篤史の感想
実にモダンでダイナミックなデザインの建物ですが、住む人の使い易さも疎かにしていません。また、打ち放しのままのキャンティレバーの階段、削り出して骨材を露出させたカウンターなど、そこかしこに仕事の丁寧さ・精度が感じさせる繊細なディテールが見てとれます。 10mの大吹き抜けの頂には天窓が設けられています。その向こうに広がる大空、そして宇宙にまで無限に広がっていく家族の可能性を感じさせます。