放送したお宅
2010年1月8日(金)放送
埼玉県ふじみ野市・根岸邸
- 薪ストーブ、真空管アンプ... コーヒーの似合う大人の家 -

2009年2月完成

敷地面積 95平米 (29坪)
建築面積 41平米 (12坪)
延床面積 76平米 (23坪)
木造在来工法
建築費:2200万円 坪単価:83万円



子育てを終えた夫婦の終の棲家。北東角の敷地にたつ片流れ屋根の建物をガルバリウム鋼板ですっぽりと包んだ外観。窓は少なめの印象です。

背の高い玄関ドアをくぐると天井・壁全てをワラスサ入りの左官仕事で仕上げた空間が広がります。階段上の天窓の明かりが、来客を自然に2階へと誘います。

2階は、ほぼ一室空間のLDK。1階と同じ左官壁、垂木を現した天井、無垢のカラマツの床と自然素材で仕上げられています。L字形に囲むルーフバルコニーと北面の天窓から充分な明かりが入ります。

居間の床の一部を玄昌石張りにして薪ストーブを設置。オーディオは真空管を使ったご主人手作りの一品物。テーブルは、家具職人である息子さんの作品です。

台所のカウンターは、ご主人が営む機械製作会社で鉄部を製作。ここに家具職人である息子さんが製作した木部を組み合わせて完成。父子共作の台所に奥さんも大満足です。

台所の脇に半畳大の書斎を設けました。引き戸を閉めて籠もることもできます。台所上のロフトは収納。縦格子も室内の明かりに貢献しています。

1階は、3つの個室と水回り。浴室は、床・壁が玄昌石張り、天井はヒバ張りです。ここにヒノキの浴槽を合わせました。入浴しながら坪庭の植栽を楽しめます。

2つの子供室の壁・天井も左官仕上げ。主寝室は約30cmの高さの畳ベッドを作り付けました。下は収納。向かいのWICと合わせて収納力は充分です。

建築家のプロフィール
根岸 達己
1964年 東京都生まれ
1988年 東海大学工学部建築科 卒業
1988年~93年 西野建築研究所
1993年 根岸達己建築室 設立
1993年~ 東京工科専門学校 非常勤講師

根岸達己建築室
連絡先   東京都板橋区若木2-18-15
TEL   03-3931-1016
FAX   03-3931-1019
E-mail   negishi@kenchikushitsu.jp
URL   http://www.kenchikushitsu.jp
 
建築家の一言
建て替え前の建物は、昼間でも電気が必要な家で、冬は寒かった為、建て替えにあたっては明るく暖かい、やすらぎのある家が建て主の第一要望でした。
夫婦と子供2人(もう大人である)の家として、30坪弱の敷地に容積率が80%である為、決して余裕のある面積が確保できないことから、プライベートな部屋を最小限の大きさで1階にまとめ、明るさの必要なパブリックな部分を2階に設け、外部からの視線を遮りながら、常にやさしい光がそそぐ家を計画しました。
施主は機械製作の会社を営み、子供は家具職人。そのため、このお二人に共同作としてキッチンを作ってもらいました。私の図面を元にコツコツと作っていただきました。小さいながらに使いやすそうなものが完成しました。奥様は、「夫と子供が作ったキッチンでの料理が楽しみ」とおっしゃっています。
 
渡辺篤史の感想
私の「大好物」が詰まった建物です。心まで暖かくなりそうな薪ストーブ。サイフォンでゆっくりと淹れたコーヒー。そして、柔らかい温室の真空管オーディオ。豊かな時間が流れる空間です。子育てを終えた夫婦の終の棲家。建築家である弟さんが設計した建物に、ご主人と息子さんが共同で製作した台所や、同じく息子さんが製作した家具が収まる。家族みんなで作り上げた家とも言えます。