放送したお宅
2009年12月18日(金)放送
神奈川県横浜市・岡本+髙井邸
- 4方を囲まれた敷地に光と風 つながる2世帯住宅 -

2008年10月完成

敷地面積 145平米 (44坪)
建築面積 73平米 (22坪)
延床面積 145平米 (44坪)
木造(軸組在来工法布基礎)
建築費:3400万円 坪単価:77万円



四方を隣家に囲まれた旗竿敷地。ここに親世帯と子世帯、さらに建築家である夫のアトリエを収めた仕事場付き2世帯住宅。それぞれの世帯用に玄関は3つ設けられています。

2階は子世帯。周囲を囲まれた環境で採光するため、床が南に向かって徐々に高くなっていくスキップフロアを採用。1階の親世帯とのコミュニケーションの窓が複数設けられています。

食卓を兼ねた大きなカウンターキッチン。居間から中庭への視線の抜けを生かすため、上部のロフトを吊り構造とし、柱を無くしました。

限られた面積を有効に使うため、居間との一体感を持たせた寝室。もちろん障子で仕切ることもできます。壁の手掛かりを上ると展望塔。半畳の息抜きスペースです。

台所の上のロフトは子供の遊び部屋。ご主人のアトリエは、居住スペースと一転、合板仕上げ。仕事中も中庭を介して家族が互いの気配を感じられる位置関係です。

1階は親世帯。中庭と、2階の床に合わせて南に向かって上がっていく天井で採光を確保しています。壁の作り付け本棚は、圧迫感を出さないため、敢えて壁一杯にしないデザインに。

2世帯で一緒に食事を摂ることも多いので、1階の台所は、2人の主婦が同時に作業できる広々とした「コ」の字形のレイアウト。ここからも中庭が楽しめます。

1階の寝室は中庭に面した南向き。2世帯共用の水回りはバリアフリーに配慮したデザイン。入浴しながら楽しめる坪庭も設けてあります。

建築家のプロフィール
岡本浩
1971年   兵庫県姫路市生まれ
東京工業大学大学院修士課程修了の後、建築家村田靖夫に師事
2003年   OASisを設立し、独立
2006年より日本工学院専門学校インテリアデザイン科にて非常勤講師を務める。

趣味では登山やスキーに長年親しんできましたが、最近は盆栽に目覚めました。
鉢を選び、木をかたちづくりながら育てるたのしみは、自然と建築の調和とも通じます。
住宅の設計と共に、得意としている庭のデザインがますます面白くなりそうです。

一級建築士
 
OASis一級建築士事務所
連絡先   神奈川県横浜市港北区篠原町82-23-2F
TEL   045-432-0453
FAX   020-4666-7392
E-mail   info@i-oasis.net
URL   http://www.i-oasis.net
 
建築家の一言
共働きの夫婦と妻の両親が、協力して子育てを充実させるための2世帯同居住宅です。細い袋小路の奥にある、周囲を隣家で囲まれた不整形な敷地に建つ建物は、1階はバリアフリーとして親世帯に、2階はスキップフロアの娘世帯として設計されました。
2階の床が南側に向かって段々畑のようにスキップしながら高くなっているのは、ギリギリに迫る隣家の屋根を“乗り越えて”南からの豊かな採光と通風を1階へ導くためです。またスキップする床と床のすきまに設けた小窓は、上下の世帯間のコミュニケーションを豊かにし、空調・換気のルートとしても活用しています。
建物最上部に設けたフリークライミングでしかたどり着けない超ミニ展望塔は、登山家の夢の隠れ家です。密集する隣家を超えて360°の景観を、そして富士山の姿を望めます。
建物の配置を工夫して、里山の小径のような前庭と、小さな雑木林のような中庭、お風呂に面した小さなフロ庭をつくることができました。密集住宅地でも外部空間を利用して気持ちの良いくらしができるよう心がけました。
 
渡辺篤史の感想
建築家であるご主人がデザインした2世帯・3世代同居の建物です。周囲を囲まれた敷地のため、採光・通風に配慮したデザインになっています。そして何よりもご両親への深い気遣いが感じられます。そうした気遣いが、これ見よがしではなく、さりげなく形になっている所が見事ですね。お嬢さんは、ここでたくさんの愛情に囲まれて育っていくんですね。