放送したお宅
2009年12月4日(金)放送
東京都中野区・大貫邸
- 変形・狭小敷地に立つ 外廊下のある家 -

2008年12月完成

敷地面積 64平米 (19坪)
建築面積 39平米 (12坪)
延床面積 68平米 (21坪)
RC壁式
建築費:2500万円 坪単価:121万円



敷地16坪、長さ20mあるという狭小、変形敷地に立つ建物。間口はわずか1.5m、敷地を有効に使うため、路地に沿うように建てられています。

玄関を入ると、廊下。ここは半屋外の空間です。廊下を囲むのは、建築現場の足場板などに使われる建材。隙間からは、光と風が入ります。

旗竿敷地を有効に使うために作られた外廊下を進むと、奥にはおよそ6畳のダイニング。東側の小さな吹き抜けから光が射し込みます。

北欧家具にこだわったダイニングの奥には、キッチン。暖かさを感じる木の天板です。西側には4畳の納戸。

食堂と納戸の間にある水回り。外廊下を通らないと行けません。外部空間を通ることで、毎日の生活に四季や、街の営みを感じられます。

2階は15畳のワンルーム。寝室とリビングを兼ねています。光を取り入れるため、天井は南側に向かって高くなっています。

室内には、北欧の家具。外廊下側には、等間隔のコンクリートの壁。 外部への抜けが広がりを感じさせます。

メンテナンスのために作られた屋上。傾斜した天井の形が美しい空間です。

建築家のプロフィール
木下道郎
1951年   兵庫県生まれ
1975年   横浜国立大学工学部建築学科卒業
1978年   ワークショップ共同設立
1995年   木下道郎/ワークショップ設立
日本大学生産工学部非常勤講師
 
木下道郎/ワークショップ
連絡先   〒151-0071 東京都渋谷区本町 3-20-1-303
TEL   03-5358-3063
FAX   03-5358-3064
E-mail   ws@workshop-kino.com
URL   http://www.workshop-kino.com
     
 
建築家の一言
個性的な敷地に建つとても個性的な家です。狭い道路に少しだけ面した、小さく細長く変形した敷地で、幅が 2mもない車は通れない小路に 16mも接しているのです。普通に考えれば木造でいくしかないのですが、どうしても RCの家をという、建築の大好きな若いご夫婦の情熱に煽られるかのように、大胆かつ強固な建築が生まれました。居室以外の空間つまり廊下や階段を屋外として、その外側を光や風を通す金属製のルーバーで覆って、「立体縁側」を居室と小路のあいだにつくったのです。この外のような内のような「立体縁側」のおかげで、できあがった居室は実際の面積よりも広がりのある空間になり、周りの目を気にすることなく窓を開け放つことができるようになりました。小路側からは「立体縁側」を通して中の雰囲気がなんとなく感じられ、壁が冷たく立ちはだかっているという印象はありません。一緒につくりあげた小さな家にクライアントはお気に入りの国フィンランドの言葉から[laatikko]という名前を選び、私は、初めて、「犬マーク」のサインを記しました。幸せな共同作業でした。
 
渡辺篤史の感想
敷地が19坪、延床面積が21坪。狭小住宅の部類です。いかに広く豊かに生活できるかということですが、まず第一に重要なのが丈夫であること。そして使いやすいということです。更に美しくということですが、それは感性です。コンクリート打ちっ放し、新素材を使って本当に創意工夫が見てとれる住宅です。本棚には建築関係の本がずらりと並んでいます。20年以上前の本にマーキングがしてあります、つまり20年以上前から家造りが始まっていたといえます。