放送したお宅
2009年10月30日(金)放送
東京都文京区・浜崎邸
大胆リフォームの家(1)
- 築40年の日本家屋が大変身 遊び心いっぱいの家 -

2007年7月(既存住宅:1968年築)完成

敷地面積 86平米 (26坪)
建築面積 50平米 (15坪)
延床面積 85平米 (26坪)
木造
建築費:1250万円 坪単価:50万円



築40年の中古住宅を購入、リフォームした建物。落ち着いた町並みに配慮して、オリジナルの面影を残した外観としました。

玄関は元は台所だった場所。家族の写真や絵を飾るギャラリー空間に生まれ変わりました。鉄製の階段は、建物の強度を確保するための筋交いを兼ねます。

土間には、子供たちが大工さんと一緒に埋めたビー玉が輝きます。2つのシンクを持つ洗面台も設けました。家に帰ったら、まず手洗い・うがいですね。

元は複数の個室が並んでいた2階をLDKとし、都心の密集地ながら充分な採光を得ました。天井板は外して梁を露出させています。

壁に設置されたクライミングホールド、柱に設置された鉄棒など、室内でも子供たちが遊べる仕掛けが沢山あります。

元の屋根の上に増築した形の居間とテラス。壁の珪藻土は、今年夏に家族で塗ったもの。こうして少しずつ家族で手を加えていく“余白”が所々に残されています。

一部に床を増設。上は本棚やプロジェクターを設置した趣味のスペース。下は、天井が低く“洞穴”を思わせる子供室となっています。

主寝室は既存住宅の面影を残しました。浴室は、元は玄関だった場所にユニットバスを嵌め込んでいます。

建築家のプロフィール
加藤幸彦
1966年   愛知県生まれ
1990年   横浜国立大学卒業
1997年   建築設計事務所「エス」設立
2007年   リノベーションのためのアトリエ「エフレスタウロ」共同設立
 
エス
連絡先   東京都杉並区久我山5-6-29-301
TEL   03-3334-3843
FAX   03-3334-3843
E-mail   katou@sp-n.gr.jp
URL   http://www.sp-n.gr.jp
http://www.efrestauro.com
     
 
建築家の一言
この家は都心に残る懐かしい路地の一角にあります。古い料亭や住宅がぎゅうぎゅうに建ち並ぶ風景はどことなく懐かしくも見えます。 この地に「土地(古家付き)」を購入して移り住むことになった家族は、その築40年の古家を取り壊して「新築」するという選択肢をあえて放棄しました。古さを積極的にいかすために「リノベーション」という方法を選んだのです。もちろん、新築することは十分可能でした。
しかし、家族は、この場所が蓄積してきた「時間」と「風景」の価値を選んだのです。
私は設計にあたって、できるだけ元の骨格と外観をいかしつつ、新しい家族が求める独創的なライフスタイルを実現させるために、古家の「過去」と、新しい住み手の「未来」とが空間の中で対話することができるデザインを目指しました。
(プロジェクト詳細 http://www.efrestauro.com/hakusan.html)
 
渡辺篤史の感想
築40年の中古住宅を購入、リノベーションによって生まれ変わらせた建物です。設計は、ご主人の大学の同級生ということで、とことん話し合った設計期間は楽しかったに違いありません。そして、施工。子供たちも含め、家族も工事に参加しました。玄関土間にビー玉を埋めたり、壁の一部を塗装したりと、楽しい思い出になります。しかも、これで終わりではありません。今夏もまた壁に珪藻土を塗ったそうです。まさに家族と共に成長して行く建物です。