放送したお宅
2009年9月13日(日)放送
千葉県柏市・菊池邸
− 真ん中に吹き抜けパティオ 植物が浮かぶ家 −

2008年10月完成

敷地面積 80平米 (24坪)
建築面積 40平米 (12坪)
延床面積 74平米 (22坪)
木造
建築費:1800万円 坪単価:80万円



外観は、窓の無い黒い箱。玄関ドアに見えたのはエキスパンドメタル製の「門扉」で、観音開きの本当の玄関ドアは更に内側にあります。

玄関をくぐって最初に入るのはダイニング。広さは約4畳ですが、6m近い高さの吹き抜けで開放感は抜群です。浮かんでいるのはエアプランツ。

天窓は電動で開閉。雨が落ちて来ても良いように、床はモルタル仕上げ。食卓とイスも屋外でも使える物を置いています。まさにパティオ(中庭)感覚です。

大きなカウンターのアイランドキッチン。モノトーンで統一した室内にカラフルな食器が引き立ちます。チューリップ形の照明は、奥さんが独身時代からの愛用品。

ダイニングを中心に各部屋が緩やかに繋がる間取り。吹き抜けの天窓と北西角に設けた中庭からの明かりで、窓の無い外観からは想像できない開放感です。

キッチン脇にあるドアをくぐると水回り。洗面室と浴室の仕切りは透明ガラスで広々。インテリア店で購入した収納など、小物類を上手く使っています。

2階は、吹き抜けを囲む回廊のようなワンルーム空間。外周の壁は緑色に塗装、床はパイン材としてモノトーンの1階とは異なる雰囲気に。

寝室の奥にある飾り棚は、天窓のメンテナンス用ハッチへの上るための階段にもなります。

建築家のプロフィール
蒲牟田健作
1975年   千葉県生まれ
1996年   国立都城工業高等専門学校 卒業
1996年   ごとう計画・設計 勤務
1997年   メイ建築研究所宮崎 勤務
2001年   COGITE 設立
 
有限会社COGITE
連絡先   宮崎県宮崎市宮田町10-22英会話ビル3F
TEL   0985-22-6997
FAX   0985-22-6997
E-mail   info@cogite.net
URL   www/cogite.net
     
 
建築家の一言
敷地は、郊外のやや密集した住宅地の袋小路に面している。
駐車のしやすさと、北側隣地の住宅への影響を考えると、建物位置とボリュームは必然的に決まるほどの大きさの敷地である。
「真四角の黒い箱」「生活感を思いっきり出して住まいたい」
「子供にはそこら自由に絵を書かせることになるから、室内は白いキャンバスの感覚でよい」
「ノイジィーな音楽を家中に鳴らすので、仕切りはいらない」「お風呂とトイレはあればいいぐらいの感じ」
「家族3〜4人がだらっと寝る寝床」「とにかく僕らが化粧をしていきながら住んでいければいい」
外殻は「黒い真四角の箱」という絶対的なリクエストがあったので、
敷地から駐車スペースを差し引いた残りのスペースで出来うるボリュームの中で模索していった。
平面約7m×7m×高さ5.5mという、諸条件から削り取って出来たボリュームを定め、そこから内部を構築していく作業となった。
建物の中心に2.5m四方の2層吹抜けの空間を設け、その吹抜け空間の天井に大きなトップライトを設けた。
電動で全開するこのトップライトがこの住宅の心臓といってよい。
玄関を入ってすぐ上を見上げると、切り取られた空が見え、天井からなにやらいろんなモノがぶら下がって宙に浮いている。
風が動けばそよそよと揺れだす浮遊物たちを、廻りを取り囲むように配置された各部屋から楽しむのである。感じるのである。
吹抜け壁面に穿たれた大小の開口から家族のコミュニティーが生まれる。
すべては、この吹抜けに繋がっている。
 
渡辺篤史の感想
菊池さんは、たくさんの候補の中から最も遠い九州在住の建築家を選びました。作例を見て『この人しかいない!』というほど、そのデザインに惚れこんだんですね。選ばれた建築家は期待に応えるべく腕を振るいました。建物のいたる所に「努力の跡」「愛情」が見てとれます。人生を豊かにする素敵な出会いでしたね。