放送したお宅
2009年8月9日(日)放送
東京都品川区・佐々木邸
− 12坪に8層の塔 デザイナー夫婦 仕事場のある家 −

2007年12月完成

敷地面積 84平米 (26坪)
建築面積 40平米 (12坪)
延床面積 112平米 (34坪)
鉄骨造
建築費:3355万円 坪単価:99万円



10m以上もある長いアプローチを持つ旗竿形、前面道路から下がっていく段差のある敷地です。2つある玄関は、1階がプライベート用、地階が仕事用です。

1階の玄関を入ると目前に広がる大吹き抜け。右手の引き戸は、プライベートと仕事、2つのモードを切り替える大事な扉です。

全部で8層の床レベルがあるスキップフロアの建物。玄関から半階上がった位置が居間・台所です。さらに半階上がった寝室と空間的に繋ぐ事で広さを演出します。

ガスレンジを設置したアイランド型の台所カウンター〜食卓〜掘り炬燵まで一体感のあるデザイン。居間のテーブルは下に収納すれば、4.5畳の和室が誕生します。

寝室は、昼間は引き戸を全開して居間の一部のように使います。段差のある敷地のため、西側の視界が開けている事も広さを演出します。

最上階はクローゼットと眺めの良い水回り。洗濯する→干す→しまう、という動線を考慮した機能的なレイアウトです。

玄関から半階下りた打ち合せ室。ここは仕事とプライベートを兼ねたスペースで、仕事の打ち合わせ以外にプロジェクターでの映画鑑賞にも使用されます。

構造現しの仕上げが、機能美を見せる仕事場。天井の低い籠もった感じの場所と高い吹き抜けの下の開放感のある場所を合わせ持つメリハリのある空間です。

建築家のプロフィール
渡辺康建築研究所
スタジオカジ+ワタナベアーキテクツ
渡辺康
1962年   東京生まれ
1984年   東京芸術大学建築学科卒業
1986年   同修士課程修了
1996年より渡辺康建築研究所設立
1999年より日本大学・神奈川大学非常勤講師
     
梶直樹
1965年生まれ
1990年   東京電機大学卒業
1998年   スタジオカジ+ワタナベアーキテクツ設立
     
 
渡辺康建築研究所
連絡先   東京都町田市森野6-87-3
TEL   042-739-5280
FAX   042-739-5281
E-mail   wy-aa@bekkoame.ne.jp
URL   http://www.bekkoame.ne.jp/~wy-aa/
     
スタジオカジ+ワタナベアーキテクツ
連絡先   東京都あきる野市秋川6-18-3-101
TEL   042-511-6290
FAX   042-511-6290
E-mail   kj_w2004@yahoo.co.jp
 
建築家の一言
1フロアの面積が10坪の中に住宅と仕事場を創るために必要だと思ったことが2つあります。それは、1つめに、平面的に面積は限られていても上下に空間をつなげることで広がりと奥行きを創ること、2つめに、小さな住宅だからこそ大きな窓や吹き抜けを大胆に創り大きなスケールを持ち込むこと、です。 そこで、半階ずつ上下するスキップフロアとすることで、視界は斜め上や下に抜けて奥行きが生まれました。1フロアの高さは2.4m程しかないのですが、それが上下の行き来もし易く、吹き抜けを伴ってとてもメリハリのある空間になったと思います。家の中を歩き回ると様々な向きに視界が広がり、小さな家だということを忘れてしまう奥行き感が生まれました。
 
渡辺篤史の感想
都心の便利ですが小さな敷地。そこに事務所スペースと生活スペースを両立させるという、なかなか困難な命題に挑戦し、見事クリアされました。コストの制限から選ばれた構造現し仕上げですが、かえって建築好きを喜ばす雰囲気になっています。全部で8層の床レベルを持つスキップフロアは、階段を昇るごと、降りるごとに違った風景を楽しめます。日々新しい発見があるに違いない、そんな雰囲気の建物です。