放送したお宅
2009年6月28日(日)放送
東京都文京区・内田邸
− 白と黒 蔵書8000冊 作家の家 −

2008年7月完成

敷地面積 103平米 (31坪)
建築面積 52平米 (16坪)
延床面積 126平米 (38坪)
木造一部コンクリート造
建築費:3600万円 坪単価:94万円



「竿」部分の長い旗竿形敷地。建物が「竿」部分にまで張り出しているので、幅約1.5mの細長い建物のように見えます。

敷地内に高低差があるため、玄関は地階。愛猫たちが飛び出さないよう、玄関は2重ドアになっています。床材はサイザル麻です。

1階LDKは、隣地の樹木を借景する2つの大窓と天窓から光が差す明るい空間。地階の書庫とは吹き抜けを介して空間が繋がっています。

台所のカウンターは炊事を主に担当されるご主人に合わせて高めに設定。大きなシンクに水栓が2つ備わっています。

2階への階段は、やはり愛猫たちのために上下にドアを設置しています。サンルームの床はタイル貼り。ここからも隣地の樹木を借景できます。

2階北側は奥さんの書斎兼寝室。傾斜した天井が屋根裏部屋のような落ち着きを生み出します。浴室の天井は檜張りです。

地階の主寝室にはLDK奥の階段を使ってアクセス。1階の玄関の真上にあたる位置にはバーラウンジが設けられています。

地階は薄暗い雰囲気の書庫。さらに、その奥に書斎があります。ご主人が昼夜を問わず執筆に没頭するため、光がほとんど入らない籠もり空間になっています。

建築家のプロフィール
若原一貴
1971年   東京生まれ
1994年   日本大学芸術学部美術学科 卒業
株式会社 横河設計工房 入社
2000年   株式会社 若原アトリエ 設立
2003年   『あがり屋敷の家』第7回WOOD ONE実施作品コンペ入選
2008年   『森のクリニック』
日本木材青壮年団体連合会第11回 木材活用コンクール部門賞(第一部門)賞
 
一級建築士事務所 株式会社 若原アトリエ
連絡先   東京都新宿区市谷田町2-20司ビル302
TEL   03-3269-4423
FAX   03-3269-4423
E-mail   kazuki@wakahara.com
URL   http://www.wakahara.com/
 
建築家の一言
このお宅は本とお酒と仕事場、そして4匹の猫たちの暮らす家です。

ご夫婦共に自宅を仕事場としているので仕事中は互いに遠い場所にある書斎で集中し、終われば家の中心で二人の時間を過ごす。そんな心地よい距離感をつくりたいと考えて設計しました。
そのために旗竿状で高低差のある敷地に階段を二カ所に分けることで家の中を長く歩き回るようにしています。また、お酒置き場のように無駄に思える場所でも何かしら居場所になることで家の中に大きな広がりを生み出すのではないかと考えました。
完成後この家に来ると、このような仕掛けは人間だけでなく4匹の猫たちにとっても快適なつくりであるように感じました。
 
渡辺篤史の感想
正面から見ると幅1.5mの細長い建物・・・と思いきや、奥に豊かな空間が待っていました。旗竿形敷地の特徴を上手く生かしています。
ご夫婦とも、時間に関係なく集中する事が要求されるお仕事です。それぞれのワークスペースの距離感も絶妙ですが、さらに愛する猫たちのため、部屋と部屋を仕切るドアを1枚多く設置しました。これが功を奏して静けさが生まれました。都心の利便性と落ち着きを両立する建物です。