放送したお宅
2009年5月24日(日)放送
東京都練馬区・櫻井邸
− ダイニングが架け橋 趣味と生活をつなぐ家 −

2008年9月完成

敷地面積 122平米 (37坪)
建築面積 68平米 (21坪)
延床面積 112平米 (34坪)
木造軸組在来工法
建築費:2800万円 坪単価:83万円



南北に分かれた2つの棟に橋を架けたような建物。駐車スペースの植栽はご主人の趣味。20種類以上の植物で彩られています。

1階南側は、玄関とガラス壁でつながるおよそ10畳の音楽室。防音が施されていて、ピアノを教える奥さんの心地良い音色が響きます。

2階のダイニングは、まさに南の棟と北の棟を結ぶ架け橋。絵画を飾るための計算された開口部は、室内を一定の明るさに保ちます。壁や床は、愛猫が爪を引っかけないような素材をチョイス。

左右に開けたスリット窓には、奥さんが趣味のガラス製品が並びます。L字型のオープンキッチンは、床を一段下げることで、ダイニングに座る人と目線が合うように工夫されています。

段差で緩やかに仕切られた南側のリビングは白で統一。バルコニーでは植栽も楽しめます。

2階北側に夫婦それぞれの寝室。間仕切りに半透明のポリカーボネートと使用し、上部が開いているため、お互いのプライバシーを尊重しつつ、お互いの気配を感じさせます。

1階の北側は水回り。中庭側を全面ガラスにすることで緑を望みながら入浴を楽しめます。

北側の一番奥にある約6畳の子供室。畳のスペースは息子さんの要望。

建築家のプロフィール
岸本 和彦
1968年   鳥取県出身
1991年   東海大学工学部建築学科卒業
1998年   アトリエチンク建築研究所設立
2004年〜   東海大学非常勤講師
東京デザイナー学院非常勤講師
2006年   acaaに改名
 
acaa
連絡先   神奈川県茅ヶ崎市中海岸4-15-40-403
TEL   0467-57-2232
FAX   0467-57-2129
E-mail   kishimoto@ac-aa.com
URL   www.ac-aa.com
 
建築家の一言
この住宅には二つの質感の異なる庭があります。アルミルーバーで閉じた中庭と、道に面して半分開いたコの字型の庭です。周囲をアパートと住宅に取り囲まれた住宅密集地にあって、閉じることと開くことのバランスを考えた結果です。内部は二つの庭から廻り込んで来る間接光(環境光)で終日柔らかく満たされ、クライアントの要望である「絵画を鑑賞する空間」を実現しています。
さらに、細長い敷地形状を最大限利用して長手方向にパースペクティブ(遠近図法)を利用した建築形態を造りだしています。建物の中に入ると、長手方向のどちらから見ても不思議な遠近感があり、そこに光りのグラデーションとメゾネットによる立体構成を組み込むことによって、一室空間に距離感と多様性をつくりだしています。
 
渡辺篤史の感想
建築家との打合せでは、家族みんなで食事やお酒を飲みながら、大いに人生を語ったそうです。ご主人は焼き物、奥さんと息子さんは音楽とそれぞれ趣味が生かされた建物になっています。人生を楽しむ棟、生活を営む棟。この目的の違う2つの棟を取り持つダイニングキッチンは、絵の大好きな家族が希望した美術館のような空間になっています。どこに身を置いても気持ちが良いです。