放送したお宅
2009年5月10日(日)放送
千葉県富津市・榎本邸
-3世代5人の小さな街 12個の箱がつながる平屋住宅-

2008年11月完成

敷地面積 390平米 (118坪)
建築面積 137平米 (41坪)
延床面積 150平米 (45坪)
木造(2×4材)
建築費:非公開 坪単価:非公開



中庭を中心として12個の箱をつなげたような建物。箱の形は大小様々、凸凹とした印象です。外壁の仕上げも変えて、見た目の違いも楽しんでいます。

交通量の多い道路から、少し奥まった位置に設けた玄関。扉は両開き、木のルーバーでプライバシーを守ります。

家の中心にある一番大きな箱はLDK。広さは約20畳、天井高は2.7mです。中庭のデッキには、耐久性に優れるイペ材を使用しています。

リビング全体を見渡せるキッチン。カウンターの長さは3.5m。来客が多いため、2人並んで作業しても余裕のある広さを確保しました。

キッチンの奥には水回り。独立した箱になっているのため、浴室にも南からの十分な光が射し込みます。

敷地の北西に位置する母親の部屋。中庭を挟むことで浴室と同じように、南からの光を取り入れています。もう一つ玄関が設けてあります。トイレは車椅子に対応。

リビングに集まりやすい位置に、夫婦の寝室・長男の部屋・二男の部屋とそれぞれの個室を配置。中庭に向かって切り取った窓で、快適な距離感を保ちます。

唯一の2階は屋上に上がるための塔屋。屋上は遠くまで景色が抜け、12個ある箱の配置がよく分かります。母屋の壁を白く塗って、統一感を演出しました。

建築家のプロフィール
納谷 学 + 新
納谷 学 (なや まなぶ)
1961年   秋田県生まれ
1985年   芝浦工業大学卒業
1985~1987年   黒川雅之建築設計事務所
1987~1988年   野沢正光建築工房
1993年   納谷建築設計事務所設立
2005年~   昭和女子大学非常勤講師
2007年~   芝浦工業大学大学院非常勤講師
2008年~   日本大学非常勤講師

納谷 新 (なや あらた)
1966年   秋田県生まれ
1991年   芝浦工業大学卒業
1991~1993年   山本理顕設計工場
1993年   納谷建築設計事務所設立
2005年~   昭和女子大学非常勤講師
2005年~   東海大学非常勤講師
2008年~   芝浦工業大学非常勤講師
 
納谷建築設計事務所
連絡先   神奈川県川崎市中原区上丸子山王町 2-1376-1F
TEL   044-411-7934
FAX   044-411-7935
E-mail   kawasaki@naya1993.com
URL   http://www.naya1993.com/
 
建築家の一言
富津の住宅(榎本邸)~12個の箱の隙間~

榎本邸は、千葉県・富津市の岩瀬川沿いに位置する二世帯住宅です。
地方都市でありながら前面道路は交通量が多く、開放的な住宅を提案するには単純に外に開くというようなロケーションではありません。
我々は、クライアントに要求された居住スペースを12の箱(部屋)に分解し、リビングを中心にそれぞれの箱(部屋)がたこの足のように延びて展開していくように計画しました。
たこの足と足の隙間には、それぞれの部屋に必要な専用の庭やテラス、玄関などを配し、その隙間にそれぞれの部屋に有効な窓をプライバシーを守りながら設置しました。
そうすることで、どこの部屋にいても光と風が得られ、明るく健康的な住宅になるはずです。
また、その隙間を介して向かい合う部屋の関係が生まれます。 例えば、リビングからお母さんの部屋の様子が伺えたり、ダイニングから息子さんの部屋が見えたり、・・・。
たこの足のように展開する12個の箱(部屋)と箱(部屋)の隙間が、この家族の日常をより豊かにすることを期待します。
 
渡辺篤史の感想
海と山に囲まれた良い場所に立つ建物です。大小様々な形のBOXが12個、絶妙な配置でつながっています。中庭をとても有効に使っていて、どの箱に身を置いても気持ちが良いです。ご主人の親友の建築家がここまで3年を費やしたそうです。まるで自分の家、それ以上の想いを込めて作った建物だと感じました。