放送したお宅
2009年4月26日(日)放送
埼玉県鳩ヶ谷市・上野邸
−白と黒のスキップフロア クリエイター夫婦のアトリエ住宅−

2008年6月完成

敷地面積 66平米 (20坪)
建築面積 40平米 (12坪)
延床面積 88平米 (26坪)
木造在来軸組
建築費:2295万円 坪単価:87万円



北側は窓1つ・ドア1つのシンプルな外観。3.2mと背の高い玄関ドアは、大きな画材を出し入れできます。南側は遊歩道に面していて、春には桜、秋には銀杏の並木が目を楽しませます。

1階の大部分は、画家であるご主人のアトリエ。創作に必要な壁面を多く取り、トップライトから安定した明かりを導きます。

アトリエの片隅には、隠れ部屋のような書斎と書庫が設けられています。この他1階には、絵画倉庫と水回りがあります。

2階北側はダイニング。道路に面した大窓にワイヤーを張り、季節ごとに掛ける布の色を変えて楽しむと同時に道路からの視線を遮ります。

スキップフロアで、居住空間とアトリエが緩やかに繋がる間取り。家事は主に、自宅で創作活動をされているご主人の担当とあって、キッチンカウンターも高めに設定。

南側の遊歩道に面して大窓を設けたリビング。3階の寝室とも繋がっていて、家全体がワンルームのようです。奥さんのピアノもピタリと納まっています。

デッキには、目隠しされた物干し場もあります。完成度の高い模型は、ご夫婦自ら製作した物。設計中は、この模型に自分たち自身のミニチュアや持ち物を当て嵌めて、イメージを把握しそうです。

リビングの一部のような寝室。色々な方向から光の入る明るい空間です。ウォークインクロゼットなど収納もたっぷり。

建築家のプロフィール
石川 淳
1966年   神奈川県湘南地方生まれ
1985年   神奈川県立鎌倉高校卒業
1987年   建築模型屋
1990年   東京理科大学工学部二部建築学科卒業
同年建築家早川邦彦氏に従事
1993年   インターデザインアソシエイツに参加
2002年   石川淳建築設計事務所設立

 
石川淳建築設計事務所
連絡先   東京都中野区江原町2-31-13第一喜光マンション106
TEL   03-3950-0351
FAX   03-6382-6686
E-mail   jun-i-ar@sa2.so-net.ne.jp
URL   http://www.jun-ar.info
 
建築家の一言
ご主人は画家で、さらに家事をこなして奥様をアシストするとても素敵な方です。 そこで、ご主人がキッチンで家事をこなしながらも、思いついたときに絵を画く作業にすぐに専念できるように、スキップフロアで1階アトリエと2階のダイニングキッチンをつなぐ事から家の計画をはじめました。 リビングはダイニングからさらにスキップして落ち着いた空間に。 さらに敷地周囲の小川の遊歩道、桜、小学校の木々などを借景する大きな窓を設けました。 小さな家ですが、ご主人の絵のように素敵な家になったと思います。
 
渡辺篤史の感想
狭小ですが、南北2面に豊かな緑のある立地。この環境を楽しむ建物です。建主が夫婦そろってクリエイティブな仕事をなさっていますが、そんな住み手のセンスが建物に彩りを加えています。特に驚かされたのが住宅模型です。自分たちがスキップフロアの空間を把握するために作られたという事ですが、あの完成度の高さには、設計者・施工者も大いに刺激された事でしょう。こうした刺激が現場の一体感を高め、良い建物が生まれたのではないかと想像します。