放送したお宅
2009年4月19日(日)放送
東京都中央区・平野邸
-桜を愛でる8m吹き抜け 都心のお花見ハウス-

2006年12月完成

敷地面積 41平米 (12坪)
建築面積 33平米 (10坪)
延床面積 108平米 (33坪)
鉄骨造
建築費:非公開 坪単価:非公開



桜並木沿いに立つ間口3m、奥行き11mの建物。正面の桜を最大限楽しむため、建物の幅いっぱい・高さ5mの大きな窓を設けました。ガラスに映る桜も見所です。

1階は車庫と玄関ホール。車庫には愛犬の洗い場を設けました。1階床面積の3分の1を収納とトイレに充てています。

階段で2階に上がると、まずはキッチンが目に入ります。シンクとレンジを左右に振り分け、コンパクトな動線と開放感を両立。中央に置かれた冷蔵庫がリビングとの間仕切りになります。

リビングの広さは約8畳。大きなガラス窓と、天井まで8mの高さを持つ吹き抜けが圧倒的な広がりを生み出しています。

大きな吹き抜けに面して設けられた2.5階の畳ステージ。リビングとは一味違った角度から桜を眺められます。花見酒に最高の場所。

建物正面に桜をライトアップするための照明を設置。自宅で夜桜見物もできます。大きな開口から漏れる灯りは、地域のランドマーク。

3階は水回りと寝室のプライベート空間。浴室の頭上を見上げれば全面の天窓。階段室への開口と相まって、わずか1.5畳大の浴室に無限の広がりを感じます。

ペントハウスから屋上にも上がれます。桜並木を上から眺めるという非日常体験が日常になる場所。「お花見ハウス」の面目躍如です。

建築家のプロフィール
横河 健(よこがわ・けん)
1948年   東京生まれ
1970年   ワシントン州立大学交換留学生
1972年   日本大学芸術学部美術学科卒業
1976年   設計事務所クレヨン&アソシエイツ設立
1982年   株式会社横河設計工房設立
現在   日本大学理工学部教授/日本建築学会代議員
     
主な受賞歴
1989年   「日比谷公園前派出所」 東京建築賞/都市計画局長賞
1999年   「グラスハウス」 日本建築学会作品賞/デュポン・ベネディクタス建築賞
2000年   「CESS・埼玉県環境科学国際センター」 グッドデザイン賞
2001年   「CESS・埼玉県環境科学国際センター」 建築業協会(BCS)賞
2002年   「CESS・埼玉県環境科学国際センター」 日本建築学会作品選奨/JIA環境建築賞
2003年   「武蔵野市立0123はらっぱ」 日本建築学会作品選奨
2004年   「THE TERRACE」 日本建築学会作品選集
2004年   「トンネル住居」 JIA25年賞
2006年   「広尾コンプレックス」 CSデザインアワード2006大賞
2006年   「THE TERRACE」 毎日コミュニケーションズオフィスアワード2006大賞
2008年   「平成の二畳台目」 日本建築学会作品選集

 
横河設計工房
連絡先   神奈川県横浜市都筑区仲町台1-33-1 THE TERRACE
TEL   045-949-4900
FAX   045-949-4944
URL   http://www.kenyokogawa.co.jp
 
建築家の一言
「花見で一杯」
桜並木に面し、古くからあった長屋の間口わずか2間、奥行き11メートルの細長い敷地に住まう。沖縄好きのご夫妻(と犬のイジャカジャ君)が選んだのは、そんな都会での暮らしでした。建設途中で最初の施工会社がギブアップするなどの幾多の困難を乗り越え、建設を支えた人たちの忍耐のおかげでなんとか完成までこぎつけることが出来ました。
敷地は狭くても前面の桜を活かした都心ならではの住まいとして5層のスキップフロアにそれぞれの役割を持たせてあります。地上2層目を「主室」として高さ約8Mの吹抜け空間を確保しました。その吹抜けの中間階には、「畳ステージ」を用意して桜並木の枝ぶりレベルと合わせ、春には夢にまでみた“花見で一杯”の夢が実現したのです。
 
渡辺篤史の感想
桜並木に面する立地。この建物は、桜を愛でるための空間という明確なテーマを持って作られました。あちこちに建築関係の本や写真などが飾られているのを見ればわかるように、ご主人は大の建築好き。そういう人が厳選した建築家と共に家づくりをするというのは、とても楽しい時間だったでしょうね。既成概念にとらわれず、新しい建物を生み出そうという心意気が迫ってくる感じがします。