放送したお宅
2009年3月1日(日)放送
神奈川県横浜市・越智邸
-1階から2階まで壁一面の蔵書 5000冊!巨大本棚の家-

2007年1月完成

敷地面積 188平米 (57坪)
建築面積 71平米 (21坪)
延床面積 135平米 (41坪)
木造
建築費:3824万円 坪単価:93万円



高台に立つ建物。階段を上った建物の西側には、植栽を施した庭があります。張り出したデッキの鉄骨を利用したブランコは、高台の景色を眺めながら楽しめます。

5畳の広い玄関土間。正面には本棚の壁。トップライトから光が落ちてくる明るい空間です。造り付けの手洗いを設けています。

東側の壁は高さ5m、幅13mの巨大な本棚。本好きのご夫婦が「大きな本棚が欲しい」と希望しました。本以外にもたくさんの思い出の品を並べて収納できます。両サイドには、家族のワークスペース。

玄関の隣に設けられた6畳の和室。にじり口で玄関と繋がります。高さを抑えた窓から見えるブランコと景色は、まるで一枚の写真のようです。

1階北側には寝室、南側には子供室。それぞれの部屋に木戸を取り付けました。子供室には、上下で穴の大きさを変え、目隠しの効果を発揮しています。

2階は高台からの眺望を楽しめる約25畳のLDK。正方形の大きなダイニングテーブルは、たくさんの来客にも対応できる8人掛けです。

家族みんなで使えるようにアイランド型を採用したキッチン。水回りと回遊できるため、効率の良い家事動線が実現しました。

キッチンの裏側には水回り。一番北側の浴室は、一転して南国のリゾートに来たような非日常的な空間です。

建築家のプロフィール
八尾 廣
1966年   大阪生まれ
1990年   東京大学工学部建築学科卒業
1992年   東京大学建築学専攻修士課程修了
1992~1997年   アトリエ・ファイ建築研究所に勤務
1997~1998年   岸田建築設計事務所に勤務
1998~2004年   THTアーキテクツ主宰
2005年   八尾廣建築計画事務所設立
2008年~   東京工芸大学工学部建築学科准教授
     
受賞歴    
2001年   いしかわ景観大賞、第22回石川建築賞(石川県知事賞)
2002年   2001年度北陸建築文化賞、第43回建築業協会賞(BCS賞)
2003年   群馬県ゆとりある住生活推進協議会長賞
2004年   第九回たかさき都市景観賞
 
八尾廣建築計画事務所
連絡先   東京都渋谷区神泉町18-8 松濤ハイツ204
TEL   03-3770-7223
FAX   03-3770-7224
E-mail   yatsuo@a-yatsuo.com
URL   http://www.a-yatsuo.com/
 
建築家の一言
この家は、ご夫婦と二人のお嬢様全員が本がお好きというご家族のための家です。加えて奥様のお父様が文筆家でいらっしゃり、将来的にその膨大な蔵書をお引き受けになるための書庫が必要との条件もありました。家族でよく通う自然公園を臨む土地を購入された仲の良いご家族は、、個室は最小限でよいとおっしゃり、共有する時間をとても大事にされているように感じられました。そんなご家族の「想い」を、私たちは率直に形にしたいと思いました。結果として大きな「家族書庫」という吹き抜け空間と、森に向かって突き出すデッキをもつ、2階のおおらかな家族スペースができあがりました。長さ13m、高さ5mのとても大きな書架は一部収納や飾り棚としても使えるよう寸法を決めていますが、建物全体を覆う屋根の小屋梁のリズムとも呼応して、家族の時間を育む母体としての役割を果たしています。家の各所には、古来より日本人に愛されてきた色が配され、さりげなくご家族の生活に彩りを添えつつ、空間にめりはりをもたらしています。
 
渡辺篤史の感想
高台から見える自然公園の森を、良い形で眺めたいということで、この土地を選びました。ありがたい景色です。若手の設計家ですが、家族が気持ちよく快適に過ごせる数々の創意工夫が見受けられます。非常に使いやすい、水回りまで一体の家事動線もその一つです。壁一面の本棚、窓からの景色、そして非日常空間とも言えるお風呂。大成功ですね。