放送したお宅
2008年11月30日(日)放送
宮城県仙台市・菅野邸
放送1000回達成・仙台特集(1)
-家族で北欧スタイル 杜の都の緑を愛でる家-

2007年12月完成

敷地面積 782平米 (236坪)
建築面積 123平米 (37坪)
延床面積 168平米 (51坪)
鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)
建築費:非公開 坪単価:非公開



道路側から見ると、箱を積み重ねたシンプルな外観。しかし、玄関ドアをくぐると、目の前に広がる緑いっぱいの景色に圧倒されます。ドアと上がり框の黄色は、以前住んだことのあるスウェーデン国旗から。

建物の南側には広い中庭を確保。以前からこの場所のあった庭木と遠くの山の借景が溶け合って、緑いっぱいの景色を演出します。

約22畳大の居間・食堂。庭面は天井までのガラスとして景色を取り込みます。白一色に統一された室内と緑の風景が美しいコントラストを作り出します。

居間北面の壁の収納は、引き戸の場所を変えることで「見せる収納」と「見せない収納」を使い分けます。一部が吹き抜けになっていて、垂直方向にも「抜け」を作っています。

台所は居間側から見ると、壁収納の一部のよう。キッチンに隣接する奥さんのアトリエは、スウェーデンに住んでいた頃に親しんだ白樺細工の工房です。

『大きなファブリックを掛けられる5mの壁が欲しい』という要望から生まれた半地下のゲストルーム。掘り下げた滑走路のようなテラスが、視線を山の緑へと導きます。

ゲストルーム隣のご主人の書斎。室内は青一色。これもスウェーデン国旗の色です。2階は水回りと主寝室のあるプライベート空間です。

「滑走路テラス」に蝋燭を並べてのキャンドルパーティ。蝋燭の淡い灯りを生かすため、室内照明は調光できるもの、光源がガラスに映り込まないものが厳選されました。

建築家のプロフィール
岸上 昌史
1965年   神奈川県茅ヶ崎市生まれ
1990年   東北大学工学部建築学科卒業
1990年   日本たばこ産業
1997年   関・空間設計
2003年   都市建築設計集団
2005年   ブレッツァ・アーキテクツ設立
 
ブレッツァ・アーキテクツ
連絡先   仙台市青葉区一番町1-4-26 S.A RUMINAビル5F
TEL   022-352-8225
FAX   022-352-8226
E-mail   kishigami@brezza-a.jp
URL   http://www.brezza-a.jp
 
建築家の一言

「普段見慣れた景色を新しい視点で楽しみたい」。そんな菅野様の想いから、地面を掘り下げたゲストルームが生まれました。緑豊かな敷地は高台に位置するものの、その木々によって崖を挟んだ向かい側の山まで見通すことが出来なかったため、むしろ目線を下げた方が合理的なアイデアのように思えたのです。このゲストルームから崖まで続く半地下空間は、シンプルなデザインであるが故に強烈な軸線を伴い、まさに外部と内部のパイプ役を果たすこととなり、水平方向の拡がりと相まって建物の奥深くまで光と木々の緑を運んでくれます。開放的なメインフロアは、ゲストルームと一体にする事で、様々な角度から四季の移ろいをダイナミックに感じることが出来る、スケールの大きな空間になりました。プライベートフロアは、日々の暮らしを支えるための充分な収納スペースを備えた空間になっています。

 
渡辺篤史の感想
庭の桜、その向こうに広がる原生林という、緑豊かな景色を存分に生かした建物です。内部空間の配置、窓の穿ち方が絶妙で、リビング・ダイニング・キッチン、ゲストルーム、それぞれの個室と、様々な角度から景色を楽しめるよう考慮されています。その景色を眺めていると、植物たちが人の気持ちを刺激すると言うか、励ましてくれるように思います。まるで「建もの探訪」放送1000回を祝ってくれているようにも感じました。