放送したお宅
2008年11月9日(日)放送
東京都世田谷区・加茂+タルディッツ邸
− 日仏デザインの世界へ 図書ホールのある家 −

2006年12月完成

敷地面積 123平米 (37坪)
建築面積 49平米 (15坪)
延床面積 98平米 (29坪)
鉄筋コンクリート造
建築費:2900万円 坪単価:79万円



八角形のコンクリート住宅。隣家のケヤキの大樹を眺めるように設計。各面には窓を配置し、コンクリートの重さを感じさせない建物です。

半階下がった地下に玄関。ここはワークスペースも兼ねています。室内の作り付け収納はラワン材で統一、コンクリートの壁面に残るラワン材の型枠跡と調和しています。

玄関から半階あがると、1階の東側にキッチンとダイニング。この階へは、キッチンを挟んだ「表と裏」2つの階段で行き来できます。約3mのコンクリートの天板が建物とマッチしています。

螺旋状に展開する室内。キッチンの先のダイニングからは、半階あがったリビング、そして、窓外のケヤキの木が見渡せます。

1.5階の西側にはリビング。キッチンの上部に位置していた、斜めの壁をソファとして利用。どこでもくつろげるように設計されています。

2階には、この家で唯一建具を付けた水回り。屋上のトップライトから明るい光が差し込みます。

さらに半階あがると、図書スペース。個室の間仕切りと、本棚を兼ねています。棚にまるで幾何学模様のようなデザインを施す事で、美しい空間となりました。

本棚で緩やかに仕切られた3つの個室。子ども達それぞれの部屋と、夫婦の寝室です。

建築家のプロフィール
加茂 紀和子+マニュエル・タルディッツ+原下 拓哉
加茂 紀和子
1962年生まれ 福岡県出身
1987年   東京工業大学大学院修士課程終了
1987−1991年   久米建築事務所(現久米設計)設計室
1992年   セラヴィアソシエイツ設立
1995年   みかんぐみ共同設立
2004年−   ICSカレッジオブアーツ講師
     
マニュエル・タルディッツ
1959年生まれ   パリ出身
1988年   東京大学大学院修士課程終了
1988−1992年   東京大学大学院博士課程
1992年   セラヴィアソシエイツ設立
1995年   みかんぐみ共同設立
1995年   ICSカレッジオブアーツ教授
2005年   ICSカレッジオブアーツ副校長
     
原下 拓哉
1968年生まれ   北海道出身
1994年   東京造形大学造形学部デザイン学科卒業
1994−1996年   東京造形大学科目等履修生
1996−1999年   環境変換装置建築研究所(E.P.A.)
2001−2004年   みかんぐみ
2004−2005年   東京都立品川技術専門校金属造形科修了
2005年   原下拓哉建築設計設立
2008年   tatadesignに改称
 
加茂 紀和子 マニュエル・タルディッツ
事務所名   みかんぐみ
連絡先   〒231-0005神奈川県横浜市中区本町5-59本町ビル501
TEL   045-650-5307
FAX   045-650-5306
E-mail   加茂紀和子:iyokan@mikan.co.jp
マニュエル・タルディッツ:kinkan@mikan.co.jp
URL   http://www.mikan.co.jp/

原下 拓哉
事務所名   tatadesign
連絡先   〒166-0002東京都杉並区高円寺北4-45-11#5
TEL   03-3310-7960
FAX   03-3310-7960
E-mail   info@tatadesign.jp
URL   http://www. tatadesign.jp/
 
建築家の一言

住んでみていろいろ付け足せばいいというスタンスで、ベースとなる外殻をどのようにするかが設計のポイントでした。内側は無柱の螺旋空間で巻貝のような空間としています。猫にならって、その季節、その時間、居心地のいいところで過ごせるような家がいいと思いました。(加茂 紀和子)

エコロジーは一人一人の意識から始まると思う。私たちはこの家で自然とつきあいながら、自然体で暮らそうと思いました。小さな庭をつくる喜びと隣家の大きなケヤキの木、緑の多い周辺環境から受ける恩恵を日々感じることのできる住宅のありかたを考えていました。シンプルでミニマルなコンクリートとラワン木材でできたインテリアは、まだ素朴な表情のまま、これからの時間とあらゆるスタイルに寛大です。(マニュエル・タルディッツ)

「広くは無いけれど、お向いのケヤキ並木や敷地までの生け垣、塀越しの木々がとても魅力的な土地なんです…」お二人はそう語られました。法と条例で環境が保たれている引き換えに、敷地の真中にしか家は建てられませんでしたが、残った土地とお向いのケヤキと空と太陽を生かし、素敵な「家と庭」に仕立て上げられたと思います。(原下 拓哉)

 
渡辺篤史の感想
8角形のコンクリートの建物です。各面に窓が設けられていて、それぞれ違った景色が眺められます。特にリビングの大窓からは隣家のケヤキの大樹が見えて眺めが良いです。まさにそのケヤキが、この土地を選んだ決め手でもあったそうですが、良い関係だと言えるのではないでしょうか。内部はモダンな中に、思い出の家具や品を置いていくことで、郷愁を感じられる空間になっていますね。