放送したお宅
2008年10月26日(日)放送
東京都世田谷区・廣川邸
− 外のテラスと中のテラス 光と影を楽しむ星形の家 −

2007年11月完成

敷地面積 189平米 (57坪)
建築面積 90平米 (27坪)
延床面積 139平米 (42坪)
在来木造
建築費:非公開 坪単価:非公開



閑静な住宅街の旗竿形敷地。「旗」が奥に進むにつれて広がっていく敷地形に合わせて変形した7角形平面の建物です。

奥に向かって広がる敷地形に合わせて「末広がり」のホール。らせん階段の作る陰影が映える空間です。床はモルタル。

2階。約25畳大の居間・食堂は「V」字形。屋内外を結ぶ3角形のテラスが特徴。テラスごと包む大屋根が一体感をより強く感じさせます。床は鉄木のフローリング。

食堂の北側にある屋内テラスは、大きな磨りガラスが明かりをもたらします。吹き抜けで1階とも繋がっています。台所は完全に閉じることができ、生活感を感じさせません。

食堂に隣接するバルコニー。床は居間・食堂と同じ鉄木フローリングで一体感を強調。深い庇に守られて、天候に左右されることなく、屋外空間を楽しめます。

1階、屋外テラスに面した細長い水回り。明るく開放的な場所ですが、入浴時には、壁の中に収められた戸を引き出すことで脱衣室になります。

ホールを中心に放射状に配置された個室群。明るい屋内テラスが、ご主人の書斎と主寝室、そして上階とも空間を結びます。

主寝室と子供室の間にも3角形のテラスがあります。テラスによって、全ての個室が2方向に開口を持てるため、通風・採光にも有利です。

渡辺篤史の感想
建築家のプロフィール
高橋 堅
1969年   東京都生まれ/神奈川県育ち
1988年   神奈川県立湘南高等学校卒業
1993年   東京理科大学理工学部建築学科卒業
1995年   同大学大学院修士課程修了
1996年   コロンビア大学建築都市修景学部大学院修了
1997年   青木淳建築計画事務所入所
2000年   同事務所退所
2000年   高橋堅建築設計事務所設立
2000年〜   京都造形芸術大学非常勤講師
2002年〜   東京理科大学非常勤講師
2006年   日本建築士会連合会賞奨励賞
2008年   東京建築士会住宅建築賞
 
高橋堅建築設計事務所
連絡先   東京都千代田区岩本町3-4-11笹倉ビル3F
TEL   03-3865-3646
FAX   03-3865-3646
E-mail   kenkenken@pop11.odn.ne.jp
 
建築家の一言
都心の典型的な住宅地に建つ2階建ての木造住宅です。
変形の旗竿敷地に目一杯に広げられた大屋根と、放射状に広がるプランを組み合わせることで、庇と壁に囲まれた大きなバッファーゾーンをつくりました。
外部と内部の両方の質を持った場所に守られた大きな開口部は、周囲からの視線を制限しながらも十分な光量を確保します。
たくさんの住宅にとり囲まれた敷地ではありますが、晴れの日はもちろん、雨の日でも自然の音や風を楽しめるように配慮しています。
敷地の不定形さを転写させた大屋根が規定する空間と、敷地一杯に広がろうとする居住空間が重ね合わされた空間は、どこにいてもその両方の質を体感することになり、一義的な認識では捉えきれない、多義的な豊かさをはらむものになっています。
 
 
周辺に大きな樹木の多い、とても環境の良いところに立つ建物です。そうした借景を楽しめるよう、大きな開口部が設けられています。これだけ開口が大きいと落ち着かなくなりそうですが、庇が深く、テラス外縁の一部に壁があるおかげで、安心感を感じます。特にラナイのようなバルコニーは、季節の風を感じられる場所。大屋根のありがたみを強く感じられます。