放送したお宅
2008年10月19日(日)放送
東京都練馬区・石川邸
− 宙に浮かぶ3つのキューブ 光に包まれる白い空間 −

2007年2月完成

敷地面積 94平米 (29坪)
建築面積 56平米 (17坪)
延床面積 87平米 (26坪)
鉄骨造
建築費:非公開 坪単価:非公開



3つの白いキューブ(立方体)が宙に浮いて見える外観。外壁材の目地を強調したパッチワークのようなデザインが特徴です。

真ん中のキューブにある玄関ドアをくぐると、そこは約5.5畳大の土間。将来は、奥さんの趣味を生かした洋裁のスタジオになる予定です。

宙に浮いた南側のキューブは居間。光を透過する断熱材を挟んだガラス窓と、外壁材の目地に設けた幅2センチの極細スリット窓から採光。淡い光に満たされた空間です。

天井・壁・床、内装を白一色で統一したのは、家具好きのご主人が集めたデザイン家具を引き立てるため。家具の形や色が際立ちます。

真ん中のキューブと南側のキューブの接続部分に設けられた台所。収納も多く、回遊する動線が確保されているので、機能的です。

真ん中のキューブは、2階が2人姉妹の部屋と水回り。1階が長男の部屋になっています。いずれも、造作家具も含めて白一色の世界です。

北側のキューブは主寝室。ベッド上のロフトが、ご主人の書斎です。こちらにも、ご主人こだわりのヴィンテージ椅子が置かれています。

夜、障子のような窓、極細スリット窓から漏れ出る灯りは幻想的ですらあります。建物自体がデザインされた照明器具のようです。

建築家のプロフィール
遠藤 政樹
1963年   東京都生まれ
1987年   東京理科大学卒業
1989年   同大学大学院修士課程修了
1989〜94年   難波和彦+界工作舎
1994年   EDH遠藤設計室設立
1999年〜   東京理科大学非常勤講師
2004年〜08年   東京都立大学非常勤講師
2005年〜08年   千葉工業大学非常勤講師
2008年   千葉工業大学 准教授
 
株式会社 EDH遠藤設計室
連絡先   〒151-0071 東京都渋谷区本町2-13-8-101
TEL   03-3377-6293
FAX   03-3377-6293
E-mail   endoh@edh-web.com
URL   http://www.edh-web.com
 
建築家の一言
敷地は東京23区の外れに位置し、南西を広く道路に接した角地です。ここに夫婦と子供3人、5人家族のための住宅を計画しました。施主は当初から、シンプルでなるべく生活感の無い住宅を望んでいました。そこでこの住宅では、パッチワークされたような面で囲まれたキューブを、3つ横に並べただけの抽象的な構成を提案しました。それらのキューブを宙に浮かし、下にオープンなピロティ空間をつくりました。そこを貸駐車場とすることで収入を見込め、建物にかけるお金を増やしています。3つのキューブには、リビング、水回り、寝室といった主生活空間がそれぞれ割り当てられています。広さが必要なリビングには大きなキューブをそのまま使い、寝室には程良い大きさのキューブを、水回りや子供部屋には、大きなキューブを内部で分割しています。これらのキューブに開けられた大きな開口窓は、光を通す白い特殊な断熱材をガラスで挟み込むことで、外からの光をやわらかく拡散させて、均質な明るい室内空間を生み出しています。夜は逆に、室内の光を行灯のように暖かく外へ溢れさせています。
 
渡辺篤史の感想
白いキューブが3つ並んだ印象的な外観の建物です。ご主人が昔から家具デザインに興味を持っていて、その家具が似合う空間を作ろうという所から家づくりが始まったんだそうです。相性の良い建築家との出会いがあって、この建物は完成しました。
私は、主寝室が気に入りました。宙に浮いた書斎のある楽しい空間です。お子さんたちも気に入っているそうですが「さもありなん」といった印象です。
それにしても、障子を思わせる柔らかい光を室内にもたらすスリット窓。これは職人泣かせだったでしょうね。この建築に関わった全ての人たちの努力によって、また一つ素晴らしい住宅が生まれましたね。