放送したお宅
2008年9月21日(日)放送
千葉県市川市・渡部邸
- 和と洋の織りなすハーモニー ヴィンテージ家具の家 -

2007年8月完成

敷地面積 357平米 (108坪)
建築面積 99平米 (30坪)
延床面積 145平米 (44坪)
木質ラーメン構造
建築費:2860万円 坪単価:65万円



北に道路、南に畑が広がる敷地に立つ黒い建物。玄関に入ると東西を貫く土間が、室内に路地のような空間を生み出しています。

外部から閉じるように壁で囲まれた1階ですが、南側の中庭が、プライベートな屋外と和の雰囲気を演出。土間を挟んで北側の和室は、障子で仕切ると離れのような個室になります。

外から閉じた1階とは対照的にオープンな2階。35畳のワンルームに、個性的な家具が配置されています。11mの開口はダイナミック。

リビングの東側は床を70cm掘り下げた書斎。段差で仕切ることでリビングをより広く感じさせます。床下には本棚も確保しています。

大空間にも負けない存在感を放つ、工業廃品をリメイクした家具たち。鉄や工業製品好きのご夫婦が、自分達で探し出しました。

オーダーメイドのキッチンは、ステンレス製の大きな作業台が特徴。高さは料理が得意というご主人に合わせてあります。ちょっとした時の食器が置ける棚も便利。

室内と連続するテラス。大きな庇が日差しをコントロールし、隣家からの視線を遮ります。南側の中庭ともつながっていて開放感抜群です。

1階南側は寝室と水回り。どちらも中庭に面していて、抜けを感じる空間です。掘り込み式の浴室からは、中庭ごしに空が見えます。

建築家のプロフィール
河内 真菜
1974年   福島県生まれ 
1998年   日本女子大学家政学部住居学科卒業
2000年   日本女子大学家政学研究住居学専攻課程修了
2000年   (株)陶器二三雄建築研究所
2002年   (株)杜設計
2004年~   河内建築設計事務所 パートナー
2007年~   東北芸術工科大学 非常勤講師

 
河内建築設計事務所
連絡先   東京都豊島区高田1-36-26 ハイツ第2目白302号室
TEL   03-3986-0095
FAX   03-3986-0304
E-mail   mana@kkas.net
URL   http://www.kkas.net/
 
建築家の一言
この住宅は、都心から電車で30分ほどの郊外にある、畑の広がるどこか懐かしい風景に建つ、若い夫婦のための住宅です。
敷地の周辺環境に応じて様々な「外部=緩衝空間」を配置することにより、居心地のよい伸びやかな「住まいの居場所」を確保できないかと考えました。
1Fは、個室などの小さな空間からなっています。1F南は、畑の砂埃や隣家の視線から室内を守るため、「中庭」を緩衝空間として設け、それを囲うように、寝室、浴室、洗面室などのプライバシーの高い空間を配置しています。1F北にも、立ち並ぶ家々の視線を回避するため、縦に長い形状を持つ「中庭」を緩衝空間として設けています。また、パブリック(離れ)とプライベート(寝室など)の緩衝帯として、かつ、畑仕事の労働動線をサポートするため、土間を東西に貫いています。
対照的に2Fは、南の畑に対して「舞台」のような大きな「抜け」を持つワンルームタイプのリビングダイニングとしました。庇を大きく張り出した開放的なリビングテラスと連続しています。
ご夫婦にとって、日常の楽しい癒しの住まいとなればと思います。
 
渡辺篤史の感想
郊外の大らかな建物。しっかりした構造ゆえに室内には柱が1本もなく、大空間が広がっています。1階は和を意識した、ゆっくりと落ち着ける空間です。これから中庭にどんな木が植えられるのか楽しみですね。2階は個性的なインダストリアル家具たちが大空間と調和し、まるで交響曲を静かに演奏しているような、そんな雰囲気の建物でした。