放送したお宅
2008年8月24日(日)放送
神奈川県横浜市・小松邸
団塊世代の家づくり(1)街暮らし篇
− 生涯現役宣言! 娘が建てた“光の家” −

2006年5月完成

敷地面積 114平米 (35坪)
建築面積 57平米 (17坪)
延床面積 140平米 (42坪)
木造 一部 RC造
建築費:3140万円 坪単価:74万円



切妻屋根が特徴の赤茶色の建物。屋根が南側に向って高く傾斜しているのは、少しでも室内に多くの光を取り込む工夫です。

玄関までのアプローチは階段の他に車イス用のスロープを確保。1階は北側に奥さんのアトリエ。お客さんが靴のまま入れるように設計されています。

2階は階段室を中心に、南北の部屋をガラスで間仕切っています。天上に設置された木のルーバーは、トップライトからの光で室内に変化をもたらします。

南側は15畳のLDK。太鼓張りの障子は、日差しをやわらげ、室内に淡い幻想的な光を作り出します。食事をする時は北側の景色が楽しめます。

北側には約11畳の第2の居間。パーテ−ションで間仕切ることで、客室としても使用できます。

オーダーメイドの洋裁店を開くことが夢だった奥さんのアトリエ。ミニキッチンを設置したのは、お客さんにお茶を出したり、将来的に独立した個室として使うことを想定しています。

寝室はおよそ8畳。両サイドの窓から風が抜ける気持ちの良い部屋。隣りにはご主人の書斎。コンパクトですが使いやすく落ち着きます。

小さな中庭付きの水回り。ここからも光が差し込みます。

建築家のプロフィール
西野 奈美
1972年   横浜市生まれ
1995年   東京大学工学部建築学科 卒業
1997年   東京大学工学系研究科建築学専攻 終了
1997-2003年   横河設計工房
2004年   デンマーク・オーフス建築学校 客員研究員
2004年   にしのなみ建築設計室 設立
2003-2006年   明治大学理工学部建築学科 兼任講師
     
受賞歴    
神奈川建築コンクール住宅部門 奨励賞 (日吉・丘の家) 2006
「あたたかな住空間デザイン」コンペティション
           暮らしデザイン部門 入賞 (日吉・丘の家)2006

 
にしのなみ建築設計室
連絡先   広島県東広島市西条朝日町8-43-601
TEL   082-421-2115
FAX   082-424-3056
E-mail   nami@nishinonishino.com
URL   http://nami.nishinonishino.com
 
建築家の一言
定年を迎える夫と自宅で仕事を営む妻が住み慣れた土地で人生のセカンドステージを過ごす家です。家で過ごす時間が長くなる二人が、お互いの気配を感じつつ、それぞれの場所を持つことができるように配慮しました。
敷地は、なだらかな北斜面の上にあり、不成形の四角形で南側に中学校舎がそびえたっています。そこで台形平面で南に向かって上昇する切妻屋根をかけました。これにより2階では冬でも明るい陽光が得られます。
居室構成は、1階に各々の仕事室と主寝室、2階に居間があります。2階は階段室で仕切られた2つの居間となっています。間仕切をガラスとすることによって、二人がお互いの気配を感じながら、それぞれの場所を持つことができ、二人の間につかず離れずのゆるやかな関係が成立します。ガラスを通して南側から一気に北側の街並が見通せ、一日中家にいても自然の変化や街並みとのつながりが感じられます。
豊かな第2の人生を期待した末広がりの家です。
 
渡辺篤史の感想
建築家の娘さんが、ご両親のために設計されました。ゴールデンエイジを迎えたご夫婦が、仲良く快適に過ごせるような工夫が随所に見受けられます。1階はアトリエや書斎といったそれぞれのスペースを作り、2階はLDKと客室も兼ねた第2の居間をガラスで仕切ることで、部屋全体の一体感と景色の抜けを感じられる気持ちの良い空間です。将来、車イスになった時のことも考えられていて、本当にご両親のことを想って、設計された建物と言えるんじゃないでしょうか。