放送したお宅
2008年7月6日(日)放送
東京都港区・中村邸
- 都心の10坪 8層の塔 無重力感覚 コンクリート住宅 -

2007年1月完成

敷地面積 58平米 (17坪)
建築面積 35平米 (10坪)
延床面積 128平米 (39坪)
鉄筋コンクリート造
建築費:非公開
坪単価:非公開



都心の密集地に立つ4階建てのコンクリート住宅。南側の大開口を囲む、まるで額縁のようなデザインが印象的です。

床レベルが8層のスキップフロアで構成される中村邸。3階はキッチンとダイニング。コンクリートの造形がダイナミックな空間です。

キッチンから半階あがるとリビング。上階と下階が空間で繋がる事で、採光と広がりを確保しています。

各フロアごとで見上げた時の表情が異なる階段。上下感覚が分からなくなりそうな美しい造形です。

4階は廊下。一面を高さ約3mの棚を設けました。本棚としてだけでなく、飾り棚としても使っています。

半階上がるとワークスペース。ぐるっと回り込む動線が、空間の広がりを感じさせてくれます。ガラスの机とグレーチングの床が光をリビングに落とします。

台所と食堂のある3階から半階下がった2.5階には長男の部屋。3畳と狭いながらも南面の大窓から採光を確保。さらに半階下がった2階には透明感のある水まわりです。

1階、玄関の奥には寝室。コンクリートで造り付けたベッドの下には収納があります。

建築家のプロフィール
古川 尚弘
1969年   福井県生れ
1992年   横浜国立大学工学部建設学科卒業
1993年   横浜国立大学大学院修士課程修了
1999年   (株)團紀彦建築設計事務所 退社
2003年   古川尚弘アーキテクツスタジオ 設立
2006年   古川アーキテクツ有限会社 設立

 
古川アーキテクツ 有限会社
連絡先   新宿区西新宿4-32-4ハイネスロフティ1007
TEL   03-5333-4653
FAX   03-5333-4654
E-mail   n-furukawa@nifty.com
URL   http://homepage2.nifty.com/TORUS/
 
建築家の一言
敷地は、18坪という狭小地、また南側の道路面以外は、4階建て以上の建物に囲まれています。
このような周辺環境において、唯一開放された南側道路に可能な限りオープンな外形をとり、住宅内の奥まで光が届くような空間構成が必要であると考えました。床のレベルを奥側が半階下がるスキップフロアとし、最上階の中央にグレーチング床を伴った大きな吹抜を設けているのはそのためです。
住宅内で求める光や風への意識は、開口が制限されることによってより敏感になると思います。室内に入り込む自然の変化(陽だまりや陽射し、風の抜けなど)に、空間が独自に呼応できることがもとめられていると思います。
またこの建物には、多様な居場所をつくり出す空間装置が幾つか付加されています。玄関上部にあるにじり口付きの一坪空間、連続性のあるベンチサイズの片持ちスラブ、座るとちょうどよい高さになる手摺付きのキャットウォークなどがそれです。
コンクリートというハードな器と、家具などのソフトな什器が渾然一体となって、家のなかにさまざまな活動の場が生まれています。
 
渡辺篤史の感想
わずか17坪の敷地に述べ床面積40坪弱のコンクリート打ち放しの建物。都心ですがとても静かです。建物の正面は格好良いですね。特に気に入ったのは居間・食事スペースです。そこを中心として建物全体がどこかでつながっています。ご夫婦が建築家とよく話し合い、ディテールにまで細心の注意を払ってデザインしていることを感じました。