放送したお宅
2008年5月11日(日)放送
神奈川県藤沢市・齋邸
- 家族が楽しむ家づくり 幸せを育む三角敷地の家 -

2007年6月完成

敷地面積 121平米 (37坪)
建築面積 44平米 (13坪)
延床面積 87平米 (26坪)
RC造・木造
建築費:1932万円
坪単価:73万円
 ※木工事、内装工事、雑工事、設備工事一式除く



高低差2.4m三角形の変形敷地に立つ建物。キャンティレバーの開口が印象的な外観です。

階段を上がるとデッキ。玄関を兼ねています。将来的には、ご主人自ら家全体をデッキで囲み回遊できるようにする予定です。

三角形のリビング空間。各角部分の開口が、明るい空間を作り出します。

吹き抜け部分の“うぐいす色”は、家族みんなで調合と壁塗りを行いました。また壁は粉末状にしたホタテの貝殻を塗っているので、調湿効果があります。

階段下を利用したキッチンは、ご主人自ら発注したもの。ステンレスの天板から棚までご主人自ら発注。コストを抑え、なおかつ想い通りのものが出来上がりました。

キャンティレバー部分にあたる2階は現在子ども部屋として使用。開口からは緑が眺められます。

リビングから降りると寝室。敷地の高低差のためここが地階にあたります。1階と同じく三角形の空間です。勝手口が設けてあるので外からの出入りも出来ます。

寝室の他、地階にはトイレと水まわり。FRPのお風呂は、コンパクトながらも落ち着く空間です。

建築家のプロフィール
小嶋一浩/CAt 担当者:伊藤絵里香、山雄和真
1958年   大阪府生まれ。
1986年   「シーラカンス」を共同設立。
2005年   CAt・CAnに改組。
現在   CAtパートナー、東京理科大学教授、京都工芸繊維大学客員教授。
 
CAt
連絡先   〒150-0021東京都渋谷区恵比寿西1-20-5-4F
TEL   03-5489-8264
FAX   03-5458-6117
E-mail   info@c-and-a.co.jp
URL   http://www.c-and-a.co.jp
 
建築家の一言
私たちは、この宅地造成の結果取り残されたような三角形の場所を、周囲の環境に「縫い合わせる」ような手続きを考えました。岬に張り出した突堤のような場所に、海のメタファーとしての展望台をイメージします。そして断面的なずれを土地に織り込むように、各レベルを空間的につなげるよう組み立てました。
道路レベルのコンクリートの壁の上に、クライアントのライフスタイルから求められたウッドデッキと、3Mの木造キャンチレバーで飛び出したボリュームが覆いかぶさります。敷地前面は高さ10Mほどの斜面がひろがっているので、デッキや飛び出したボリュームからは、プライバシーを保ったまま斜面の緑を感じることができ、小さいながらも周囲の環境とつながった広がりを保っています。地下からデッキにアクセスする階段は実は外部であり、デッキと一つながりのリビングとキャンチレバーのボリュームとは大きな吹き抜けで一体化されていて、地下の階段からキャンチレバーの先端まで、内と外とがトポロジカルにねじれながら螺旋状につながっているような空間構成です。
都市部とも郊外とも違うこの地域には独特の空気があって、クライアント一家もその中で海を楽しみながら自然体の生活を営んでいます。
特異な場所の特異な建築を目指すのでなく、様々な条件を敷地において縫い合わせるように、自然な手つきでその場の可能性を広げること。
日本の住宅地における、私たちなりの「耕し方」の一つです。
 
渡辺篤史の感想
緑に囲まれて、とても良いポジションにこの家はあります。三角形の敷地にあまり逆らわず、素直に建てていますね。内部は居間スペースの吹き抜けていて、コンクリートと木と家族で塗ったうぐいす色の3色の壁が印象的です。またみんなで積極的に家づくりに参加することが、無意識ではあってもお子さんの記憶の中に永遠に残っていく。まさに子を育む建物と言えるのではないでしょうか。