放送したお宅
2008年3月16日(日)放送
千葉県松戸市・森田邸
- 家の真ん中に大穴! 白い「ロ」の字ハウス -

2007年6月完成

敷地面積 124平米 (38坪)
建築面積 40平米 (12坪)
延床面積 85平米 (26坪)
木造 一部RC造
建築費:2150万円
坪単価:83万円



家の真ん中に大きな四角い穴の開いた、文字通り「ロ」の字型。ランダムに開けられた窓がリズミカルな表情を見せます。

「穴」の部分は中庭としての機能を持ちます。1階は、玄関とトイレのみ。らせん階段は、踏み板がパンチグメタル製で、下階に光を落とし、見た目も軽やか。

地面から1.5m掘り下げた地階はLDK。内壁は白ですが中庭に面した部分だけ黒く塗られ、空間を引き締めます。間口はわずか3mですが、吹き抜けで縦方向に広がりを作っています。

吹き抜けのリビングに対し、天井高を抑えて落ち着きを出したダイニング。家具はこだわりの逸品揃い。特にダイニングチェアは4脚とも違う物を使用しています。

台所仕事をしながらも、集まった友人たちと一緒に楽しめるフルオープン型のキッチン。カウンターの一部は分離可能。キャスター付きで、使い方に合わせて自由に移動できます。

キッチンの裏側が水回り。FRP塗装の白一色の空間です。浴室と洗面所の間はカーテンで柔らかく仕切ります。

2階はプライベートスペース。中庭に面した床が黒く塗られています。将来、家族構成が変わった時には、仕切って使う予定の広い一室空間。床の一部は透明ガラスです。

寝室部分は、床を約60cm下げています。これが精神的な間仕切りの役割を果たします。一部をグレーチングにして、下の階との繋がりを生んでいます。

建築家のプロフィール
塚田 修大
1969年   千葉県生まれ
1993年   東京理科大学理工学部建築学科卒業
1995年   早稲田大学大学院修士課程修了
1996年   コロンビア大学大学院修士課程修了
1996~2000年   伊東豊雄建築設計事務所
2001年~   塚田修大建築設計事務所
現在   早稲田大学、東洋大学非常勤講師 明治大学兼任講師
 
塚田修大建築設計事務所
所在地   東京都千代田区麹町4-7-7-3F
TEL   03-3263-6698
FAX   03-3263-2232
E-mail   guest2@ts-ar.com
URL   http://www.ts-ar.com/
 
 
建築家の一言
断面がロの字型をした住宅です。設計当初お施主さまから要望のあったコートハウスを、水平方向ではあまり敷地にゆとりがないので垂直方向に回転することにして、真ん中にヴォイドをはさんだ上下3層に立体的に展開する住宅を提案しました。すべての部屋がヴォイドを囲んでズルズルとつながる住宅です。半地下階から最上階へ、ヴォイド周りにLDK・水回り・アプローチ・寝室と展開し、
コーナー部では天井高さ、床高さが変わる特徴的なスペースができています。また短辺方向の断面には部屋だけしかなく、上下左右でダイレクトに外部に接することができます。建物周囲に十分な空地もあるので、開口部は採光上・換気上有効に機能することができます。そこで各部屋において光と風を得やすいように壁、天井、そして床に丁寧に開口部を配置しました。ヴォイドは地盤面から1.5m上がったところに位置し、一応は玄関アプローチとして機能していますが、その使い方は色々とあるのだと思います。お施主さまが住まいながら新しい使い方を発見してくれることを期待しています。
 
渡辺篤史の感想
真ん中に大きな穴の開いた「ロ」の字型というユニークな外観。中に入ると、今まで味わったことのないような空間構成です。地階のLDKは、半地下のせいか、とても落ち着いた雰囲気です。窓の位置・大きさも考えられていて、プラバシーを守りつつ開放感を演出します。2階の個室もワンルームですが、段差によって精神的な仕切りを設けています。
住宅デザインに、また新たな可能性が生まれたという印象です。