放送したお宅
2008年3月9日(日)放送
東京都町田市・大村邸
− 大屋根の下の大空間 きのこハウス −

2007年3月完成

敷地面積 105平米 (32坪)
建築面積 57平米 (17坪)
延床面積 118平米 (36坪)
木造 一部 RC造
建築費:非公開
坪単価:非公開



下の部分よりも上の方が広がったキノコを思わせる外観。屋根から外壁にかけて全体が茶色のガルバリウム鋼板で包まれています。

約6畳大の広い玄関。外形を反映して、コンクリートの壁が上に向かって広がっています。靴収納の周りにL字形に切った窓で明るい空間です。

スキップフロアで、半階上がった所が第1の居間。基礎から立ち上がったコンクリートが、そのままベンチになっています。食堂との間の引き戸を閉じれば客間として使用できます。

さらに半階上がった2階は食堂。スキップフロアなので、大屋根の下に1つの大空間が広がります。水平梁を排して「登り梁」のみで構成された屋根が大迫力。

食堂から半階あがった最上階は第2の居間。外部空間を大屋根の下に引き込んだようなテラスが、入子のようにも見えます。大窓からは隣接する緑地の風景を楽しめます。

食堂から見えないよう壁で仕切った台所。大きな吹き抜けを介して食堂・居間と繋がっているので孤独感はありません。動線を考えて、すぐ裏に家事室が設けてあります。

第2の居間とテラスを挟んで反対側は約2畳大の書斎。ちょっとした「離れ家」感覚が味わえます。家事室からも入れます。

第1の居間と同レベルにある浴室、1階の寝室も、上に向かって広がるコンクリート壁が面白い表情を見せています。

建築家のプロフィール
高安 重一
1966年   千葉県旭市生まれ
1985年   銚子市立銚子高等学校
1989年   東京理科大学理工学部建築学科卒業
1990年-1995年   東京理科大学助手
1995年   建築研究室高安重一事務所設立
2003年   有限会社アーキテクチャー・ラボに改組
現在   東京理科大学、日本工学院専門学校非常勤講師
 
有限会社アーキテクチャー・ラボ
所在地   東京都台東区雷門2-13-3-2階
TEL   03-3845-7320
FAX   03-3845-7352
E-mail   info@architecture-lab.com
URL   www.architecture-lab.com
 
 
建築家の一言
東京郊外に建つこの住宅の敷地は、南側・西側がそれぞれ前面道路に接する角地に位置し、道路を挟んだ西側は崖状の緑地帯となっています。そこで、この敷地の特質である角地であること・緑地帯に隣接していること・緑地帯からの落ち葉があること・東側隣家の入り口がこちら側にあること・前面道路と高低差があること・道路から見上げられること・崖上から見下げられること・目立つ位置にあること等の与条件と、内部からの視線の抜けや採光の確保を考慮してスキップフロアによって分節されつつも連続的な一室空間となった内部と、それを包み込む屋根・壁一体的な多面体の外形で計画された住宅です。
 
渡辺篤史の感想
敷地の西側、道路を挟んだ反対側に緑地があります。これを我が庭のように感じる建物です。
焦げ茶色のキノコを思わせる外観。中に入ると、外形そのままの大空間が広がります。登り梁だけで支えられた大屋根はダイナミック、梁を連結する金具は力強い印象を与えてくれます。スキップフロアの間取りは、どこまでも伸びやかで、将来部屋の用途が変わったとしても許容する柔軟性があります。お子さんが伸び伸びと育っていく、楽しい空間です。