放送したお宅
2008年2月17日(日)放送
東京都練馬区・水川邸
− 6枚の壁が支える カフェ仕様の家 −

2007年1月完成

敷地面積 83平米 (25坪)
建築面積 41平米 (12坪)
延床面積 54平米 (16坪)
RC造
建築費:非公開
坪単価:非公開



ツイストした6枚のコンクリート壁が支える構造。力のかかる方向を分散させることで、通常の垂直壁に比べて厚さ・鉄筋量とも3分の2程度で済むそうです。

玄関は外階段を上がった2階。広い土間とガラス越しに広がるテラスが、空間の広がりを演出します。

高さ4mの吹き抜けを持つLDK。そこに2つの黒い箱が吊り下げられているように見えます。

将来カフェを開くことを想定した広い台所。広さ・仕様など、法規に則って設計されているので、いつでも開業できます。

キャンティレバーの階段を昇った先にある東側の黒い箱。現在は子供部屋として使っているロフトです。ご主人のお昼寝にも良いですね。

らせん階段を昇った先の西側の黒い箱=3階はプライベートスペース。機能的にレイアウトされた水回り・寝室・テラスです。スリットの窓は少しだけ開くことで、下の階の気配も感じられます。

浴室のスリット窓からは近所にあるイチョウの大樹が見えます。葉が落ちる季節には、富士山を眺めながら入浴できます。

1階は2つのシンクを持つ洗面と頃。カフェが開業した折にはお客さん用として使われます。ガレージは内外に2台分。屋内ガレージには、ご主人の趣味のレース仕様車が収まっています。

建築家のプロフィール
遠藤 政樹
1963年   東京都生まれ
1987年   東京理科大学卒業
1989年   同大学大学院修士課程修了
1989〜94年   難波和彦+界工作舎
1994年   EDH遠藤設計室設立
1999年〜   東京理科大学非常勤講師
2004年〜   東京都立大学非常勤講師
2005年〜   千葉工業大学非常勤講師
 
株式会社 EDH遠藤設計室
所在地   〒151-0071 東京都渋谷区本町2-13-8-101
TEL   03-3377-6293
FAX   03-3377-6293
E-mail   endoh@edh-web.com
URL   http://www.edh-web.com
 
 
建築家の一言
この住宅は、夫婦と子供の3人家族のために、東京都区内の商業地域に計画されています。そこに、6つの自立したコンクリートの板をならべ、その中に3つの箱を適所にひっかけました。コンクリートの板は、HP曲面(双曲放物線面)というカーブした面にすることで、同じ厚さの壁と比べると、薄くても同じ強度を得る事ができます。
3つの箱は、それぞれ浴室や寝室、収納など、生活に必要な最低限の大きさとなっており、残りの余白が、奥様の夢であるリビング兼カフェや、旦那様の趣味の自動車いじりのスペースなど、時に応じていろいろな活動の場となっています。
余白は、見上げたり見下ろしたりすることができ、変化をあたえることで広がりのある空間を実現しています。
 
渡辺篤史の感想
南北に立ち上がる6枚のねじれた壁。そこに黒い3つの箱を引っ掛けたような構造の建物です。
1階には、カーレースが趣味のご主人のガレージ、2階は、奥さんの夢である将来のカフェ開業を想定したスペース。決して広いとは言えない商店街の敷地に、これだけの要素を詰め込んでも狭さを感じさせない。その秘密は、2階リビングのダイナミックな吹き抜けです。色々な形・大きさの窓から変化に富んだ光が降り注いで飽きさせません。近い将来、カフェを開いた時には、この楽しさをお客さんも共有することができるんですね。羨ましい。