放送したお宅
2008年1月27日(日)放送
東京都世田谷区・宮﨑邸
- 9mの光の階段 父と子のガレージハウス -

2006年9月完成

敷地面積 153平米 (46坪)
建築面積 69平米 (21坪)
延床面積 191平米 (58坪)
地下1階 RC造、地上2階 木造
建築費:非公開
坪単価:非公開



地階にある玄関。入ってまず目に入るのは明るい階段室。床から天窓まで約9mの大吹き抜けです。各部屋に光を落とす「光井戸」の役をはたします。

玄関の左は2台分の車庫。ガラスを通して世界を代表する2台のスポーツカーが見えます。天井=1階の床にも明り取りの窓が!

最上階=2階は子世帯。居間は西側の公園に面して開いた開放的な空間です。居間と食堂の間に段差を設けて、緩やかに空間を仕切ります。

公園の緑を楽しめるテラスはグレーチング張り。下階に光を落とす機能と同時に見た目も軽やかです。台所はシンプルな動線。

寝室と食堂との間にはガラス箱のような1坪大のテラス。さらに階段室に面した窓からも明かりが入って明るい部屋です。

1階は親世帯。リビングの床に開けられた窓の強化ガラスを透して愛車を真上から眺められます。階段室に面した大窓からの明かりも充分。

お父さんの個室は5畳強と決して大きくありませんが、天井が高いので狭く感じません。ここにも愛車を眺めるための窓が設けられています。

お母さんの部屋は子世帯の居間と同様、西側の公園に面した明るい部屋です。地階の車庫脇には、時には客間、時にはトレーニング室にもなる予備室があります。

建築家のプロフィール
山縣 洋
1985年   東京工業大学建築学科卒業
1987年   東京工業大学大学院修士課程修了
1987年   株式会社 竹中工務店入社
1994-1996年   OMA(オランダ)に勤務
2002年   山縣洋建築設計事務所設立
 
山縣洋建築設計事務所
所在地   神奈川県川崎市多摩区三田1-26-28ニューウェル生田ビル302
TEL   044-931-5737
FAX   044-931-5738
E-mail   yo-yamagata@mse.biglobe.ne.jp
URL   http://www5d.biglobe.ne.jp/~yoy/
 
 
建築家の一言
宮﨑さんのお宅は2世帯住宅のため、世帯間の距離をどのようにとらえるかが肝要でした。共有スペースを用意すれば必ずしも世帯間のコミュニケーションが進むというわけではなく、お互いのつながりがさりげなく感じられる程度が今回は合っているように考えました。一方で屋上には大きなバルコニーを用意しているので、例えば多摩川の花火大会のような「ここぞ」という行事のときは息子さんご夫妻がご両親を屋上に招待するような関係が作れたらよいのではと思います。
プランで工夫した点は、建物北側にトップライトを設け、そこを大きな吹抜け空間としたことです。そうすることで、本来なら暗くなりがちな北側の場所を、各室に光を届ける役割に転化させることができました。また、外壁には濃色のアクリル弾性リシンを使用することで、敷地北面の巨大な擁壁に対峙するような佇まいを意図しました。
 
渡辺篤史の感想
緑豊かな高台の敷地。隣の公園を借景し、自邸の植栽も見事な、緑に囲まれて静かに立つ2世帯住宅です。機能的な面は当然考えられていますが、それに加えて余白のような空間が至る所に設けられています。特に高さ9メートルの階段室は、ダイナミックでデザインの喜びがあふれている感じがします。
また、親子共通の趣味を楽しめるガレージも羨ましい。親子間の距離感もちょうど良い2世帯住宅です。