2008年1月6日(日)放送 奈良県奈良市・山下邸 奈良 人気建築家の自邸シリーズ(1) - 回廊が結ぶ内と外 木々に溶け込む家 − |
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山下喜明 | |||||||||||||||
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ycf/山下喜明建築設計事務所 | |||||||||||||||
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奈良公園の北、奈良阪に広がる丘陵地に開かれた住宅地の外周保安林に接する未造成の宅地に建つ自邸です。敷地は新興住宅地内ですが雑木の生い茂る斜度40度を超える急斜面。ここに既存の雑木の伐採を最小限に抑え、残した緑を住まいに最大限取り込めるような建て方を検討しました。元の雑木林としての風景も極力壊したくない。そこで建物の高さを抑えるよう全長20mの東西に細長い平屋としました。更に建物を地盤から切り離して基礎を建物外形より1m程内側に配置し、独立基礎とすることで地盤の掘削面積を最小限に抑え、建物近くの木の根も傷めないよう配慮しました。間取りは、中央の半屋外居間を中心に東を「公」、西を「私」としてLDKと個室を切り離し、二つの個室の間に浴室を配置しました。建築面積の過半数が大屋根で被われた半屋外デッキなのでフラットな庭がなくても(雨の日でさえも)外が楽しめる。それは森を切り開き膨大なコンクリート擁壁で雛壇状に開発するよりもずっと安価なコストで緑に癒され夏を涼しく住まう一つの解法ではないでしょうか。 | |||||||||||||||
緑深い林の中に遠慮しながら立っているように感じる建物です。急斜面の敷地、そこに舟のように暮らす浮遊感も感じます。創意工夫、楽しみが詰まった舟です。各部屋ごとに機能が明確に振り分けられていて、視覚的な変化が楽しめるのも面白いです。 この家の楽しさの源は、自然に対して畏敬の念を持ちつつ慎ましく暮らす、というコンセプトの明快さにあると思います。 |
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