放送したお宅
2007年12月30日(日)放送
神奈川県横浜市・小宮邸
- 大窓!小窓!丸窓! 富士山を楽しむ家 −
2006年2月完成
敷地面積 152平米 (46坪)
建築面積 75平米 (23坪)
延床面積 179平米 (54坪)
鉄筋コンクリート造+木造
建築費:4300万円
(擁壁工事費含む)
坪単価:80万円



高台の傾斜地。玄関前の階段から富士山が見えます。学生時代から「建もの探訪」ファンというご主人こだわりの船舶照明がワンポイント。

全体に明るさを抑えて、リビングへと自然に導かれる玄関ホール。姿見の鏡はマジックミラーで、照明を点けるとウェディングドレスが浮かび上がります。

リビングを通り抜けて出たテラスからも、もちろん富士山!一般には隣り合わせに置かれるダイニングとキッチンを敢えて離した間取りは、このリビングから空への「抜け」を確保するためです。

テラスから1m低い床レベルのリビング。高さ3.5mの大窓が空だけを切り取ります。“余計なもの”が視界に入って来ない、気持ちの良いリビングです。

リビングの天井は透明の波板ガラスと半透明の断熱材の組み合わせ。室内に光を落とし、夜は逆に屋根が夕闇に浮かび上がります。

「コ」の字型の機能的キッチン。テラスに面した折戸を全開すれば、テラス〜ダイニングまでが一体になります。晴れた日のランチが気持ち良さそう。

2方向に出入り口を持つ子供室。3畳大ですが、天井が高いので余裕を感じます。洗面所の窓からも富士山が見えます。

暖色系のガラスモザイクタイルが鮮やかな浴室。浴槽に入ると、やはり窓から富士山!地階のオーディオルームは壁に厚さ2.5cmの吸音材を貼っているので音質もGood!

建築家のプロフィール
田口剛章
1969年   愛知県生まれ
1998年   Taka設計室設立

Taka設計室 一級建築士事務所
連絡先   東京都新宿区新宿6-11-9新宿第二松喜ビル2F
TEL   03-3351-1956
FAX   03-3351-1972
E-mail   gosyo@ra2.so-net.ne.jp
URL   http://www012.upp.so-net.ne.jp/TAKA/
 
建築家の一言
お施主様は実は数年前から別の設計者とこの敷地に対して住宅の設計を進めていたそうで、私が最初に手渡された「こんな家にしたい」リストには、すでに具体的で大変細かい要望事項が詰まっていました。私はその中の1つの抽象的な表現「鳥が遊んでいる空間を気球に乗って眺める感じ」というリクエストのみに注目しました。そこにある本質をつかもうと考え、それを形にしたのが家の中心にあるホール空間です。可能な限り空に近づくために設けた屋外テラスと、透光性断熱材の屋根に覆われた開放的なホールがステージを介して繋がり、レベル差を持ちながら空に向かって一体空間を作り出します。ホール + ステージは細分化された個室群への動線と視線の交差場所と設定されており、 「見るー見られる」という意識を持つ事で活き活きとした人の営みを感じとる事のできる劇空間化された住空間でもあるのです。
 
渡辺篤史の感想
家づくりには色々な方法がありますが、注文住宅というのは洋服に例えるならイージーメイド、あるいはオーダーメイドです。この建物はオーダーメイドの極地と言えるように感じます。建築家が建主の趣味を理解し生かして設計したことが伝わって来ます。建築家は30代半ば、まだ若手と言っていい年代です。こうした若手がどんどん出て来ることが、建築界の進歩に繋がって行くと確信しています。