放送したお宅
2007年12月16日(日)放送
東京都世田谷区・永田邸
- とんがり屋根で規制を克服 理想のスタンダード住宅 −
2007年5月完成
敷地面積 55平米 (17坪)
建築面積 39平米 (12坪)
延床面積 105平米 (32坪)
鉄骨造
建築費:非公開
坪単価:非公開



特徴的なトンガリ屋根は斜線規制から生まれたもの。外階段を支えるカップの取っ手のような鉄柱も家を支える構造の一部です。

2階にある玄関。入って正面の階段横には大きな本棚があり3階まで続いています。リビングへと人を自然に導くための設えです。床はサイザル麻。

最上階=3階のLDK。屋根型そのままの天井が広がりを生んでいます。高窓から入った光は天井に反射して部屋中に届きます。

家族4人にしては大きな食卓はホームパーティ仕様です。食卓側に向けてレイアウトしたIHで温かい料理をサービスするおもてなし上手なキッチンです。

ステンレスを成型して作った1枚板のキッチン。屋根傾斜によって下へ行くほど深くなる奥行きを利用して、週能力も抜群です。

2階の床は全てサイザル麻。足にやさしい。洗面シンクは1つですが大型で水栓が2個付いています。物干しもできる小さなバルコニー付き。

1階は家族が集まるホビールーム。玄関が2階にあるため、地階のように落ち着いた雰囲気です。ここで親子一緒に楽しみます。

姉妹の部屋の内装色は、それぞれが好きな色を選びました。造作ベッドの下は収納です。

建築家のプロフィール
みかんぐみ
加茂 紀和子
1962年生まれ   福岡県出身
1987年   東京工業大学大学院修士課程修了
1987〜1991年   久米建築事務所(現久米設計)設計室
1992年   セラヴィアソシエイツ設立
1995年   みかんぐみ共同設立
2004年〜   ICSカレッジオブアーツ講師
 
曽我部 昌史
1962年生まれ   福岡県出身
1988年   東京工業大学大学院修士課程修了
1988年〜1994年   伊東豊雄建築設計事務所
1994年   ソガベアトリエ設立
1994年〜1995年   東京工業大学建築計画第二講座助手
1995年   みかんぐみ共同設立
2001年〜2006年   東京芸術大学助教授
2006年〜   神奈川大学教授
 
竹内 昌義
1962年生まれ   神奈川県出身
1989年   東京工業大学大学院修士課程修了
1989年〜1991年   ワークステーション一級建築士事務所
1991年   竹内昌義アトリエ設立
1995年   みかんぐみ共同設立
2001年〜   東北芸術工科大学准教授
 
マニュエル・タルディッツ
1959年生まれ   パリ出身
1988年   東京大学大学院修士課程修了
1988年〜1992年   東京大学大学院博士課程
1992年   セラヴィアソシエイツ設立
1995年   みかんぐみ共同設立
1995年〜   ICSカレッジオブアーツ教授
2005年〜   ICSカレッジオブアーツ副校長
 
主な受賞歴
1995   最優秀賞-NHK長野放送会館建築設計競技
佳作-仙台メディアテーク建築設計競技
1996   優良賞-霧島彫刻ふれあいの森アートホール
1997   優秀照明施設-支部長奨励賞(NHK長野放送会館)
1998   「健康な住まいコンテスト」受賞(相模原の家)
東京建築賞奨励賞-NHK長野放送会館
2000   くまもとアートポリス推進賞(植柳新町地域学習センター)
2001   JCDデザイン2001優秀賞(SHIBUYA-AX)
JCDデザイン2001優秀賞(KH-2@future)
熊本県木材協会連合会賞(八代の保育園)
2005   住宅建築賞奨励賞(上原の家)
ディスプレイ産業大賞/経済産業大臣賞(愛・地球博トヨタグループ館)
ディスプレイデザイン賞優秀賞(愛・地球博トヨタグループ館)
JCDデザイン2005奨励賞(愛・地球博トヨタグループ館)
グッドデザイン賞(愛・地球博トヨタグループ館)
JCDデザイン2005入賞(四季の桜)
2007   日本建築家学会技術部門設計競技「既存建築物の耐震改修デザイン」優秀賞(上野ビル)
 
みかんぐみ
連絡先   〒231-0005
神奈川県横浜市中区本町5-59 本町ビル501
TEL   045-650-5307
FAX   045-650-5306
E-mail   info@mikan.co.jp
URL   http://www.mikan.co.jp/
 
建築家の一言
 限られた敷地の中で空間を最大限使い切ると、二面の道路斜線と高度斜線でできてしまうとんがり屋根のボリュームとなります。この状況を積極的に使うこと、敷地の南東方向近くに世田谷線が通っているのでその方向は高ければ高いほど視界が開いているということから、三階を家族が最も長い間過ごすリビングとダイニングキッチンにしました。最高天井高さ5.6mの空間には天井近くに設けた窓とキッチンのトップライトから隣の家の屋根越しに空と光が入ってきます。一方で一階からの階段の上り下りを少しでも軽くするため、外階段を設置して玄関を二階にしていますが、玄関の踊場を支えているようにみえる構造はこの大きな屋根を支える構造となっています。玄関からリビングへの階段横には壁一杯の棚を設置しており、AV機器や本等の収納場所として将来の物の増加にも対応できるようにしています。
 
渡辺篤史の感想
永田邸にお邪魔して、ドイツやフランスの国民住宅を思い出しました。住宅のスタンダードとして政府が提唱した住宅です。今の日本で同じような思想に基いた住宅として、この家はお手本になるような気がします。いかにもデザインしていますというような肩に力が入った印象は無いんですが、よくよく細部を見てみると、よく考えられたデザインの集積であることがわかります。
まさに都市住宅のスタンダードになり得る素晴らしい住宅です。