2007年8月19日(日)放送
東京都品川区・深海邸
- 10m巨大玄関ドアがつなぐ 2つの塔の家 -
2006年11月完成
敷地面積 48平米 (15坪)
建築面積 34平米 (10坪)
延床面積 105平米 (32坪)
鉄筋コンクリート造
建築費:2866万円
坪単価:90万円



建物の全高と同じ(!)高さ10メートルの玄関ドア。全開すると階段室が屋外感覚になります。2分割もできます。

3階建ての南棟と4階建ての北棟の「2つの塔」です。吹き抜けの壁を世界各地のお土産や花が空間を彩ります。

北棟2階は落ち着いた色合いの書斎。床はヒノキです。吹き抜けに面した窓は開閉可能です。

南棟2階はリビング。床は暖房効率の良いタイル貼りです。DJでもあるご主人のレコードコレクションが目を引きます。

吹き抜けに面した窓を開けると、半階高い位置にあるダイニングの窓が見えます。吹き抜けを介して繋がっている印象です。

北棟3階はダイニングキッチン。床はバーチ合板です。吹き抜けを介してリビングを見ると、その向こうに道路が見えるという不思議な構図です。

南棟3階は寝室。床はカーペット貼りです。ご主人自作の照明が可愛いですね。

北棟4階は水回り。正方形の大きな湯船が印象的なお風呂は、天窓から明かりがたっぷり入って、気持ち良さそう。ツインの洗面もいいです。

長谷川豪(はせがわごう)
1977年   埼玉県生まれ
2002年   東京工業大学大学院修士課程修了後、西沢大良建築設計事務所
2005年   長谷川豪建築設計事務所設立
SDレビュー2005鹿島賞
第9回あたたかな住空間コンペグランプリ
平成19年東京建築士会住宅建築賞金賞
 
長谷川豪建築設計事務所
連絡先   〒150-0011
東京都渋谷区東1-10-3-103
TEL.   03-3797-6300
FAX   03-3797-6301
URL   http://www.hsgwg.com/
E-mail   hsgwg@ybb.ne.jp
 

深海邸の敷地はわずか14坪の角地で、都心の過密な地域にあります。敷地の狭さがそのまま室内に表れてしまうワンルームの構成だと室内の閉塞感が気になったので、思い切って建物を2棟に分けて、南棟を11畳の3階建て、北棟を6畳の4階建てとして、ガレージ、オフィス、リビング、書斎などの深海夫妻に求められた部屋を各階に設けました。2棟の間には幅1.2mほどの隙間があって、そこにガラスの屋根をかけ、玄関と階段室を兼ねたホールとしています。ホールの道路側の面には、建物と同じ高さ約10mの大きな玄関扉を設置して、天気の良い日にはこの大きな扉を開放して、ホールを光と風が流れる空間にすることができます。また明るいホールを挟む2枚の大きな壁面には、住人のお気に入りの草花や布や絵画などを自由に飾れるようにしています。隣の部屋に移動するたびに、街が入り込んだようなホールの空間を体験することで、敷地境界を越えて、まるで街のなかに暮らしているように感じられるような開放的な住宅を目指しました。

 

小さな敷地に立つ2つの塔。その間を行き来するらせん階段。吹き抜け空間を通してお互いの塔を見合うという、新しい考え方の建物です。吹き抜けの壁に飾る物によって、世界各地の路地空間が現出しそうな雰囲気です。
私が特に気に入ったのは浴室です。正方形の浴槽は頭を置く位置を限定しませんから、様々な角度・景色を味わえます。大らかですよね。
ご夫婦は、宮崎に行った時にもらったソテツの種を大事に育て、そして芽が出ました。そんな仲睦まじいご夫婦が益々親密になれそうな建物だと思います。