山梨県富士河口湖町に建つ住宅です。
敷地は観光の主要道路から少し入った、田んぼと住宅が混じったなかにあります。もともとあった大きなケヤキとネムの木、降り注ぐ自然や地面に生息する生き物や植物、近くの山の景色を建主はたいへん好きであり、そうした自然をいつも感じられる住空間を望んでいました。一方でこの地域は、夏は涼しいかわりに冬はマイナス10°にまでなる厳しさも持っていました。私は、年間を通していつも屋内と屋外が接している開放的な、それでいて敷地の外からは住んでいる様子があまり見えないような建物がよいと思いました。

そこで、屋内と屋外の境界面を出来る限り「透明」にしようと考え、目地や方立てがなくガラスよりも透明度が高い、厚み２０mmのアクリル板により建物四周を構成しました。

アクリルはペアガラスよりも断熱性能が高いため、四周に雪がふる中に静かに身を置くような空間が得られました。日中は建物の中にいながらまるで庭と連続しているかのような明るく開放的な住宅となっています。また各面に開けた引き戸からは空気が通り、四方に風が抜ける心地さが建物の魅力を引き立てています。

若いご夫婦と元気な男の子たち３人が暮らす超モダンな建物です。
景観の良い立地ですと、つい窓を大きくとりたくなりますが、こちらの建物は窓の高さをあえて抑えることで視線をコントロールし、緑の山だけが見えるようにしています。立地の良さが際立ちます。
そして、２階は全てお子さんたちのスペース。３人が横並びで勉強するカウンター、秘密基地のような２段ベッド、兄弟が仲良くなるための“装置”が仕掛けられています。ここで伸び伸びと育っていく姿が目に浮かぶようです。