2007年6月24日(日)放送
東京都・加藤邸
- 路面電車と暮らす 絵画教室のある家 -
2006年10月完成
敷地面積 78平米 (23坪)
建築面積 39平米 (12坪)
延床面積 117平米 (35坪)
鉄骨造
建築費:2600万円
坪単価:74万円



路面電車の線路沿いに立つ細長いお宅。建物の一番細い部分は、1.8m。

間口2mの玄関スペース。 布で収納スペースと仕切っています。

玄関奥には奥さんの絵画教室。道路がわに絵画教室用の出入り口が作られています。

2階は、寝室、デッキ、水まわり。 洗濯、物干し、収納と、階段の上り下りのない家事動線が実現しました。

細長い敷地を生かした3階、LDK。天井高は1.9mから4.7mまでの傾斜を生かし、広がりを確保。ダイナミックな空間となりました。

ダイニングテーブルには、IHを設置。調理台とテーブルの一体型。温かい食べ物がすぐ出せるという、こだわりのキッチンです。

キッチンの反対側には、居間。 路面電車の借景が楽しい空間です。

屋上デッキには、コンセントを設置。路面電車を眺めながらホットプレートでお好み焼き。情緒あふれる空間です。

二宮博(にのみやひろし)+菱谷和子(ひしやかずこ)
二宮博(にのみやひろし)
1963年神奈川県生まれ
早稲田大学大学院 AAスクール大学院修了
明治大学理工学部建築学科兼任講師
菱谷和子(ひしやかずこ)
1963年福岡県生まれ
横浜国立大学工学部建築学科卒業
 
ステューディオ2アーキテクツ
連絡先   〒221-0865
横浜市神奈川区片倉2-29-5-B
TEL.   045-488-4125
FAX.   045-488-4195
E-mail   studio2@ec.netyou.jp
 

加藤さんから「接道35メートル、日当たり抜群の土地がみつかりました」といわれ、訪れてみると、そこは線路沿いのすきまで、奥行きはわずか2~3メートル!でも、まわりに家は建たないし、線路といったって都電がのんびりと走っているだけ。駅も商店街も目と鼻の先で、奥さんの絵画教室にも絶好の場所です。市場の標準にまどわされず、生活の場を自分自身の感覚で切り開いていこうという見識に、とても勇気づけられました。樹木の上に家をつくるように、一見困難と思われる場所に家をつくると、多少のとまどいや工夫を強いられるかわりに、何物にも替えがたい豊かさを得ることもできると思います。加藤さんが描いた家作りのスケッチには、東京の下町を思いっきり住みこなしてしまう力強さと期待が溢れ出ていました。そういう感覚をできるだけ開放させられるように、敷地の特徴を素直に生かして、シンプルな骨組がつくれたらよいなと思いながらつくりました。

 
家が建つ前の土地を写真で見せていただきましたが、ただの狭い道という感じが致します。よくここに家を建てたなと感心してしまいました。しかし出来上がってみると、室内には豊な空間が広がっています。設計家が建て主の為に一生懸命工夫している、そんな感じが所々に見受けられます。特に3階のLDKは斜面規制を素直に受け入れた結果、大きな長い三角など色々な形ができました。これによって、より長く広く感じられる効果もあるのではないでしょうか。