2007年6月10日(日)放送
横浜市・牧野邸
− 光さしこむ半地下生活 家庭菜園のある家 −
2005年2月完成
敷地面積 125平米 (38坪)
建築面積 62平米 (19坪)
延床面積 88平米 (26坪)
RC造+木造 一部鉄骨造
建築費:2500万円
坪単価:94万円



畑が欲しかったという夫婦。4畳半ほどのスペースに野菜と果物を育てています。

玄関はガラス張りになっています。外にテーブルとイスを出せば、ちょっとしたテラスに。

約30畳のLDK。敷地が傾斜しているため、1階の一部が半地下になっています。高窓からの光で明るさを確保。

家の真ん中にあるオープンなキッチン。木製のカウンターは長さ6メートル。ワークスペースと洗面所まで続いています。

あえて天井高を押えた畳スペース。収納棚上の窓からは畑の緑を楽しめます。

浴室はバスコート付き。ガラス天井のバスコートは、浴槽からシダレザクラが見えます。

物干しとして利用しているバスコートは、扉が付いていて、開くと勝手口として大きな荷物も、玄関を通らずに出し入れが可能です。

2階のフリースペースと寝室は引き戸で間仕切れます。フリースペースのロフトからもサクラが眺められます。

根津武彦+沢瀬学
根津武彦
1965年   山梨県生まれ
1988年   東京理科大学理工学部建築学科卒業
1991年   東京理科大学大学院修士課程修了
1992年   ロンドン大学バートレットスクールディプロマ卒業後、SHIMZ(UK)
1995年   北川原温建築都市研究所
2002年   ロコアーキテクツ共同設立
沢瀬学
1971年   岩手県盛岡市生まれ
1997年   石田敏明建築設計事務所
1998年   横浜国立大学中途退学
2002年   ロコアーキテクツ共同設立
 
受賞
2004年   JCDデザイン賞優秀賞
2004年   インテリアプランニング賞優秀賞
2005年   つくば田園都市コンセプト住宅実施設計競技1等受賞
2005年   神奈川建築コンクール最優秀賞
2005年   グッドデザイン賞
2006年   JCDデザインアワード金賞
2006年   KOKUEIKAN PROJECT Final25
2006年   AR AWARDS Highly Commended賞
  
根津武彦+沢瀬学/ロコ
ロコアーキテクツ 一級建築士事務所
連絡先   〒157-0066
東京都世田谷区成城1-9-2-303
TEL.   03-3417-9220
FAX.   03-3417-9182
URL   http://www.loco-arch.com
E-mail   mail@loco-arch.com
 

建て主夫婦と、土地探しから一緒に始めました。
この場所にたどり着いて、ふらふらと周囲を散歩したりして、ふと隣の建て主をみると、岸辺から海を遠くみつめるような、澄んだ目をしていたのが印象に残っています。

建て主とこの場所が、共鳴していました。

ともにダイバーである建て主夫婦は、ふわふわと自由に空間を漂っていける、すてきな空間認識をもっていましたし、この場所はそれに応えるように、不思議な高さ関係と広がりをもっていました。僕たち設計者は、そのすてきな共鳴を、大事に、注意深く空間に置き換えていきました。そうしたことで、敷地の内外・家の内外といった境界を軽々と飛び越えて、周囲の空間と交じりながらどこまでも広がっていく感覚が生まれたように思います。
ある時、工事中の現場を訪れた建て主が、「ここはニノネのようだ」とつぶやきました。それは建て主夫婦が特別な愛着を持っている、ダイバー同士ならわかるダイビングポイントの呼称だそうです。
それ以来、みんながこの住宅を「ニノネ」と呼ぶようになりました。

 
学生時代の友人の設計家と共に土地探しから始まり、設計期間に約2年を要しました。その間には喧嘩して離反したり、また仲良くなったりしたのでしょう。でもその積み重ねこそが、人生の輝かしい1ページになるような感じがします。出来あがった建物はとてもダイナミックでいて、こもれる部分もあり、至る所から光が射し込んできます。春になれば、ガラス天井から見える桜で、湯船に浸かりながら花見ができる。いいですねぇ。