2007年5月13日(日)放送
神奈川県川崎市・坂元邸
- 大小の箱 宙に浮かぶ箱 8つの箱の家 -
2006年7月完成
敷地面積 94平米 (29坪)
建築面積 52平米 (16坪)
延床面積 114平米 (35坪)
木造(一部 RC造・鉄板構造)
建築費:3000万円
坪単価:87万円



大きな白箱に寄り添う小さな黒箱。庇を兼ねた“玄関ボックス”です。室内に入ると奥行きのある玄関ホールが出現します。

コンクリート箱は水回り。ツイン洗面器に珍しいツイン・シャワーは、ご夫婦同時にお出かけの時、便利です。

2階、コンクリート箱の上がリビング。ガラス箱のようなルーフテラスから日が入ります。コンクリートの床に熱を蓄えて暖かく過ごせます。

リビングから下がった位置のキッチン。シンクとレンジに“フタ”をすれば食卓に早代わりです。

照明はほとんどが間接照明。やわらかい明かりに包まれてリラックスできそう。設計には照明デザイナーが参加しているそうです。

ルーフテラスには開閉可能なテント付き。夏は閉じておけば、リビングのコンクリート床が温まることを防いで涼しく過ごせます。

ルーフテラスの下の木箱は寝室。壁の小さな扉は、洗面やリビングと繋がる“コミュニケーション窓”です。

キッチン上に浮かぶ鉄箱は、ご夫婦の“音楽室”です。ここにも“コミュニケーション窓”があります。

森 清敏 + 川村 奈津子
プロフィール
森 清敏
1968年   静岡県生まれ
1992年   東京理科大学理工学部建築学科卒業
1994年   同大学院修士課程修了
1994~2003年   大成建設株式会社設計本部
2003年~   MDS一級建築士事務所共同主宰
2006年~   日本大学非常勤講師
 
川村 奈津子
1970年   神奈川県生まれ
1994年   京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業
1994~2002年   大成建設株式会社設計本部
2002年   MDS一級建築士事務所設立
 
受賞歴
2003年   グッドデザイン賞
2004年   インテリアプランニング賞
木質建築空間 デザインコンテスト
American Wood Design Awards
2005年   東京建築賞
2006年   JID 賞
2007年   TEPCO快適住宅コンテスト
 
MDS一級建築士事務所
連絡先   〒151-0053
東京都渋谷区代々木5-8-6-502
TEL.   03-3465-6648
FAX.   03-5941-8590
URL   http://mds-arch.com
E-mail   info@mds-arch.com
 
密集地において日照およびプライバシーを確保しつつ、空間に合った適材適所の素材選択をテーマとしています。リビングを北側に配し、半層ずらした南側にルーフテラスをとることで、隣家からのプライバシーを確保しつつ、テラス越しに光の降り注ぐ、明るくかつ視覚的にも伸びやかな空間をつくりだしています。エントランスから最上階のルーフテラスまで空間ごとに「箱」という形で高さが変化し、寝室は木、水廻りは湿気を抑えつつ蓄熱体となるコンクリートでくるみ、吊られた書斎は補強のための鉄板張りとしています。それぞれの「箱」の窓からは、切り取られた緑や空、室内の風景が眺められ、閉じていながらつながる気分が味わえるようになっています。
 
建築家が「HACOHACCO」と名付けた建物。木・鉄・コンクリートといった様々な材質の8個の箱が組み合わさってできています。そして、それらの箱が必ずどこかで他の箱に繋がるようになっています。家族同士の距離を縮める仕掛けですね。
キッチンが食卓になってしまうというアイディアも面白いです。
都市近郊の住宅地においては、広い家はなかなか望めません。坂元さんのお宅も、創意工夫で広がりを確保しています。建築の可能性を感じました。